来日して間もないころは、家賃も食費も交通費も一気に出ていきます。生活費が心配で、日本語がまだ話せなくても今すぐアルバイトを始めたい、と考えている人は多いはずです。
結論から言うと、日本語に自信がなくても始められる仕事はちゃんとあります。見るポイントは2つだけ。仕事中にどれくらい日本語で話すか(会話量)と、作業の手順がどれくらい決まっているか(マニュアル化)です。会話が少ない仕事は安心して始めやすい一方、あえて会話のある仕事を選んで、働きながら日本語を伸ばしていくという選び方もあります。この記事では、会話量の少ない順に5つの仕事を紹介しながら、応募しやすい求人の見つけ方、応募や面接で使える日本語フレーズ、怪しい求人の見分け方まで、一緒に順番に見ていきます。
この記事は情報を伝えるためのもので、法律の助言ではありません。在留資格や労働のルールは変わることがあります。働き始める前に、学校の留学生担当窓口や出入国在留管理庁の公式サイトで最新の情報を確認してください。
日本語が話せなくても始めやすい仕事は「会話量」と「マニュアル化」で選ぶ
「日本語ができないと、そもそも採用されないのでは」と不安になりますよね。実は、仕事ごとに必要な日本語の量はかなり違います。
会話量とは、仕事中に必要な日本語の量
接客、電話対応、お客さんへの説明が多い仕事は、その場で日本語を聞いて答える場面が増えます。反対に、倉庫での仕分けや清掃のように、決まった作業を1人で静かに進める仕事は、日本語が少なくても進めやすくなります。
マニュアル化とは、作業が手順で決まっている度合い
作業の順番やルールが紙やチェックリストで決まっている職場では、最初に覚える言葉ややり取りが限られます。「今日はこの棚から始めて、終わったら報告する」のように流れが固定されていると、日本語ビギナーでも仕事を覚えやすくなります。
この2つを軸にすると、仕事は次のように整理できます。
| 仕事 | 会話量 | マニュアル化 | 日本語ビギナーの始めやすさ |
|---|---|---|---|
| 工場・倉庫の軽作業 | 少ない | 高い | とても高い |
| 清掃・ベッドメイキング | 少ない | 高い | 高い |
| キッチン補助・皿洗い | 少ない〜中 | 中〜高 | 高い |
| 配達の補助・仕分け | 少ない〜中 | 中 | 中〜高 |
| 英語や母語を活かす仕事 | 中 | 中 | 中(短い日本語は必要) |
日本語に自信がないうちは、会話量が少なく、マニュアル化が進んでいる仕事から選ぶと無理なく続けやすいです。慣れてきたら、少しずつ会話の多い仕事に広げていけば、働きながら日本語も伸びていきます。
応募する前に確認したい在留資格のルール
仕事を探す前に、ひとつだけ必ず確認してほしいことがあります。留学の在留資格では、アルバイトをするために資格外活動許可(しかくがいかつどうきょか・在留資格で認められた活動以外の仕事をするための許可)が必要です。
- 許可を受けている場合、在留カードの裏面にその許可の内容が記載されます。自分の在留カードを見て確認してください
- 許可を受けずに働くことはできません
- 学校の授業がある期間は、週28時間以内が上限です。アルバイトを掛け持ちする場合の数え方は、学校の留学生担当窓口で確認してください
- 学校の長期休暇中は、1日8時間以内で働けます
- 風俗営業(ふうぞくえいぎょう・キャバレーなど客の接待をして飲食させる店や、パチンコ店など、法律で特別な許可が必要な営業)に関わる店では、清掃やキッチンなどの仕事でも働けません
(参照:出入国在留管理庁「資格外活動の許可(入管法第19条)」)
(参照:出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」)
(参照:警視庁「風俗営業等業種一覧」)
来日したばかりで許可がまだ手元にない場合は、先に許可を取ってから応募を進めましょう。「日本語が不安だから、とりあえず先に働き始める」は避けてください。
週28時間の数え方や、許可の取り方は、別の記事で詳しくまとめています。
来日したばかりで、ほかに必要な手続きもまとめて確認したい人は、こちらも参考にしてください。
Living in Japan
留学生の来日後1週間手続きチェックリスト(2026)
留学生が来日後にする手続きを、最初の1週間で迷わない順番にまとめたチェックリストです。在留カードの確認、SIMの準備、市区町村での住民登録、国民健康保険と年金の手続き、銀行口座の開設まで、何をどの順で進めればいいかが一目でわかります。今日か…
関連記事を読む
会話が少ない順に見る、日本語ビギナーでも始めやすいバイト5選
ここからは、会話量が少ない順に5つの仕事を紹介します。どの仕事も、求人によって内容は少しずつ違います。応募前に求人票で必ず確認してください。
1. 工場・倉庫の軽作業(仕分け・ピッキング)
商品を種類ごとに分ける仕分けや、棚から注文の品を集めるピッキングなどの作業です。最初に作業の流れを一度教わったら、あとは同じ動きの繰り返しになることが多く、日本語を使う場面が最も少ない仕事のひとつです。
- 会話量:少ない(あいさつと、短い確認が中心)
- 向いている人:1人で静かに作業するのが得意な人、体を動かすのが好きな人
- 覚えておきたい言葉:場所、数、時間に関する言葉
工場や倉庫では、機械や荷物を扱う場面があります。安全に関する指示は短くても大切なので、わからないときは「もう一度お願いします」と必ず聞き返しましょう。
2. 清掃・ベッドメイキング
ホテルや商業施設で行う清掃や、客室のベッドメイキングです。やることがチェックリストで決まっていて、マニュアルが整っている職場が多めです。会話は最小限でも進められるので、初めてのアルバイトでも落ち着いて始められます。
- 会話量:少ない(始めるときの説明と、終わったときの報告が中心)
- 向いている人:丁寧に作業できる人、決まった手順が好きな人
- 覚えておきたい言葉:道具、場所、終わりました(完了報告)
ホテルのベッドメイキングは、同じ手順を繰り返すうちに自然とスピードが上がります。最初は時間がかかっても、先輩の動きを見ながら覚えていけば大丈夫です。
3. キッチン補助・皿洗い
飲食店でも、お客さんと話すホールではなく、キッチン補助や皿洗いなら会話量はかなり少なくなります。指示は「これお願い」「次はこれ」のように短く、作業も決まっているため、日本語ビギナーでも入りやすい仕事です。
- 会話量:少ない〜中(キッチンの中で短い指示が多い)
- 向いている人:動きながら覚えるタイプの人、チームで動くのが好きな人
- 覚えておきたい言葉:食材や道具の名前、「お願いします」「終わりました」
求人票に「ホール」とだけ書かれていると接客が中心になります。「キッチン補助」「洗い場」と書かれているかを確認しましょう。
4. 配達の補助・仕分けスタッフ
配達の仕事は、内容によって会話量が大きく変わります。荷物を渡すときにお客さんと話す仕事は、日本語が必要になる場面が増えます。一方、配送センターでの荷物の仕分けや、配達前の準備を担当する補助的な仕事は、会話が少なめです。
- 会話量:少ない〜中(受け渡しがあると増える)
- 向いている人:時間を守って動ける人、体力に自信がある人
- 覚えておきたい言葉:住所や番地の読み方、「お届けものです」
車やバイクで運ぶ仕事は運転免許が必要になることがあります。また、個人事業主(こじんじぎょうぬし・会社に雇われず、自分で仕事を請け負って働く人)として配達を請け負う働き方は、働いた時間を確認しにくい場合は、通常の許可とは別に個別の許可が必要になることがあります。
(参照:出入国在留管理庁「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」)
「受け渡しが多いか」「裏方が中心か」を、求人票で先に確認しておくと安心です。
5. 英語や母語を活かせる仕事
観光客向けの案内、免税店の接客、通訳や翻訳の補助など、日本語以外の言語が強みになる仕事もあります。英語や中国語、韓国語、ベトナム語などが話せると、採用で有利になることがあります。
- 会話量:中(お客さんとは母語や英語、同僚とは日本語になりやすい)
- 向いている人:人と話すのが好きな人、自分の言語力を活かしたい人
- 覚えておきたい言葉:あいさつ、お客さんを案内するときの短い表現
注意したいのは、「英語だけでOK」と書かれていても、現場では同僚との短い日本語(あいさつや確認)が必要になることが多い点です。完全に日本語なしで働ける仕事は少ないと考えておくと、あとで困りません。
ここまで紹介した仕事のどれにも当てはまらなくても、日本語をあまり使わない求人は見つかります。次の章では、探し方を紹介します。
日本語が不安でも応募しやすい求人の探し方
日本語が話せないと採用されにくいのでは、と心配になるかもしれません。でも、選ぶ職場の条件を少し変えるだけで、応募しやすさは変わります。見るべきなのは、海外出身のスタッフを受け入れた経験がある職場か、そして仕事の内容がわかりやすく説明されているか、の2つです。
求人サイトの特集で絞り込む
求人サイトのなかには、条件別にまとめた特集ページがあります。たとえば、日本で働きたい海外出身の方向けの求人サイト「YOLO WORK」では、次のような特集から求人を探せます。
| 特集 | わかること |
|---|---|
| 日本語不問の仕事、日本語ビギナーOK | 日本語のレベルを問わない求人。まず優先して見る |
| 外国人スタッフ採用経験あり | 海外出身のスタッフを受け入れた経験がある職場 |
| トレーニングあります! | 研修があり、仕事の覚え方が整っている |
| 未経験OK、かんたんな仕事 | 初めてのアルバイトでも応募しやすい |
| 留学生OK | 留学生が応募できる求人 |
実際に「日本語ビギナーOK」の求人から採用された留学生の体験談もあります。
Stories
留学ビザでもアルバイトに採用される?日本語ビギナーOKの求人で選ばれた23歳の話
日本語は日常会話レベル(N3相当)、留学ビザの23歳アメリカ人女性が、大阪のカフェのホールスタッフに直接応募で採用された話です。「日本語ビギナーOK」の求人に59件の応募が集まった理由と、正社員登用ありの表記が採用の決め手になった理由をやさ…
関連記事を読む
求人検索はこちらからできます。
日本語に自信がない人は、次の特集ページから見てみてください。
YOLO WORKは日本語や英語をはじめ、多くの言語で使えます。会員登録から利用まで無料です。
(参照:YOLO WORK「採用までの流れ」)
求人票でチェックしたい3つのポイント
特集で候補を絞ったら、求人票の中身を読みます。次の3点を見ておくと、働き始めてからのミスマッチが減ります。
- 会話が必要な場面が具体的に書かれているか:「接客あり・なし」「電話対応あり・なし」「日本語での説明が必要か」が書かれている求人は、入ってからのギャップが小さくなります
- 仕事の流れが想像できるか:作業内容が具体的で、研修やマニュアルがある求人は、覚える日本語が限られて安心です
- 海外出身のスタッフが働いている情報があるか:受け入れの経験がある職場は、ゆっくり話してくれたり、伝え方を工夫してくれたりすることがあります
この3点を見たうえで、前の章の「会話量が少ない仕事」から選ぶと、今すぐ働ける仕事に近づきます。
応募や面接で使える日本語フレーズ
日本語が話せなくても、使うフレーズをいくつか決めておけば、応募や面接で慌てずにすみます。長い文章を覚える必要はありません。次の短い表現だけで十分です。
| 場面 | 言いたいこと | 使えるフレーズ |
|---|---|---|
| 面接の最初 | 日本語がまだ上手ではないと伝える | 日本語は勉強中です。ゆっくり話してください。 |
| 聞き取れなかったとき | もう一度言ってほしい | もう一度お願いします。 |
| 意味がわからないとき | 簡単な言葉で言い換えてほしい | もう少し簡単に言ってください。 |
| シフトを聞かれたとき | 働ける曜日と時間を伝える | 月曜日と水曜日の夕方に働けます。 |
| 資格外活動許可について | 許可があることを伝える | 資格外活動許可があります。週28時間まで働けます。 |
| 仕事中に困ったとき | 手順を確認したい | これは、どうやりますか。 |
実際の職場では、わからないまま「はい」と返事をしてしまう場面が出てきます。聞き返すのは失礼ではありません。むしろ、確認せずに間違えるほうが、職場の人は困ってしまいます。
職場で使う短い日本語や、基本のマナーは別の記事でまとめています。
Work & Career
外国人が知っておきたい日本のビジネスマナー 名刺交換・報連相・職場のルール
日本の職場で働き始めた人に向けて、ビジネスマナーと職場のルールをまとめました。あいさつと時間の感覚、報連相、名刺交換、席次、言葉づかい、根回しと稟議、労働時間と有給休暇、飲み会、服装、困ったときの相談先まで、職場の習慣と法律のルールに分けて…
関連記事を読む
怪しい求人を避けるチェックリスト
日本語が不安なときほど、求人票の細かい部分を読み飛ばしてしまいがちです。応募する前に、次の危険サインがないか確認してください。
応募前に見たい危険サイン
- 仕事内容があいまい:「簡単」「誰でもできる」「すぐ稼げる」とだけ書かれていて、具体的な作業がわからない
- 条件がよすぎる:相場から大きく外れた高い時給や収入を強調している
- 連絡の方法が不自然:応募してすぐに、個人のSNSや個人のLINEだけで連絡するよう求められる
- お金を先に払うよう言われる:登録料、紹介料、教材費など、働く前に支払いが必要だと言われる
- 場所が不明確:勤務地の住所や最寄り駅がはっきりしない、面接の場所が何度も変わる
- 決断を急がせる:「今日中に決めて」など、考える時間をくれない
安心しやすい求人の特徴
- 作業内容がイメージできるほど具体的に書かれている
- 時給、交通費、シフト、勤務地、研修の有無が明確に書かれている
- 研修制度や多言語マニュアルなど、初めてでも学べる仕組みがある
- 海外出身のスタッフを受け入れた実績がある
時給は最低賃金を下回っていないか
時給は、地域ごとに決まっている最低賃金(さいていちんぎん・法律で決まっている、これより低く払ってはいけない時給)以上でなければなりません。アルバイトも対象で、その地域で働くすべての人に適用されます。応募する地域の最低賃金は、毎年改定されることがあるので、厚生労働省のページで最新の金額を確認しましょう。
(参照:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)
働くことが決まったら、会社から労働条件通知書(ろうどうじょうけんつうちしょ・時給や勤務時間などの条件を書いた書類)を受け取ります。初日までに必要な書類は、別の記事で順番に説明しています。
Work & Career
アルバイトの必要書類:初日に揃えるものと入社手続き
日本でアルバイトを始めるとき、初日までに何を用意すればいいのかを実務ベースで整理しました。在留カードの許可の確認、マイナンバーの伝え方、給与振込口座、緊急連絡先まで、必ず必要な5点と会社によって求められる書類、初日までの逆算スケジュールをま…
関連記事を読む
よくある質問
Q1. 日本語ができなくても、面接は受けられますか?
受けられます。面接の最初に「日本語は勉強中です。ゆっくり話してください」と伝えれば、相手も話し方を調整してくれます。前の章のフレーズ表を、事前に声に出して練習しておくと安心です。
Q2. 英語だけで働ける仕事はありますか?
あります。ただし「英語OK」と書かれていても、現場では同僚との短い日本語(あいさつや確認)が必要になることが多いです。英語を話せる人向けの求人は、特集ページからも探せます。
Q3. 来日してすぐに働けますか?
資格外活動許可を受けていれば働けます。許可がない状態では働けないので、先に許可を取ってから応募しましょう。週28時間の上限や、許可の取り方は、留学生のアルバイトのルールをまとめた記事で確認できます。
Q4. 友だちができやすいバイトはどれですか?
チームで動く職場や、同年代のスタッフが多い職場は、自然と話す機会が増えます。たとえばキッチン補助や、大きな倉庫のチーム作業は、一緒に動く仲間ができやすい仕事です。最初は会話が少ない仕事から始めて、慣れてきたら会話の多い仕事に広げていく進め方もおすすめです。
Q5. バイトで日本語は上達しますか?
仕事で毎日使う言葉は、自然と身につきます。会話の少ない仕事でも、道具の名前、場所、時間、「お願いします」「終わりました」などのフレーズは、くり返し聞くうちに覚えていきます。少しずつ会話の多い職場に移ると、さらに伸びやすくなります。
Q6. 生活費はバイトでどれくらい補えますか?
地域や働く時間によって変わります。留学生の1カ月の生活費の目安と、アルバイト収入でどこまで補えるかは、別の記事で金額つきで説明しています。
Living in Japan
日本の留学生の生活費はいくら?1カ月の予算と内訳
留学生の1カ月の生活費はいくら必要でしょうか。JASSOの調査データをもとに、家賃・食費・光熱費の内訳、学費を含めた合計の目安、地域による差、アルバイト収入でどこまで補えるかを具体的な金額で解説します。留学前の予算計画づくりに役立つ内容です…
関連記事を読む
まとめ:日本語が不安でも、今日から一歩進める
- 日本語に自信がないうちは、会話量が少なく、マニュアル化が進んでいる仕事から選ぶと安心です
- 働く前に、在留カード裏面の資格外活動許可と、週28時間の上限を必ず確認しましょう
- 求人は、「日本語不問の仕事」や「日本語ビギナーOK」などの特集で絞ると、自分に合う職場を探しやすくなります
- 応募や面接では、短いフレーズを数個覚えておけば十分です。聞き返すのは失礼ではありません
- 仕事内容があいまいな求人や、お金を先に求められる求人は避けましょう
まずは、特集で絞って求人を見てみてください。気になる仕事が見つかったら、求人票の会話量と研修の有無を確認して、応募に進みましょう。