Introduction(はじめに)
いつもの黄色いうすしお、赤いコンソメパンチ、緑ののりしお。コンビニのお菓子コーナーに並ぶカルビーのポテチは、目をつぶっても色で選べるくらい鮮やかなパッケージが特徴でした。
その袋から、突然「色」が消えます。
2026年5月25日出荷分から、カルビーは主力14品のパッケージを 白黒2色刷り に切り替えると発表しました。日本に住んでいて、まだ日本語のニュースを追うのに慣れていない方ほど、店頭で白黒袋を見て「これって偽物?」「回収品(不具合で売り場から戻された商品)?」と一瞬ヒヤッとするかもしれません。
結論から言うと、偽物でも回収品でもありません。中身の味も価格も内容量もこれまで通り。色が消えた理由は、はるか遠くの中東情勢にあります。
この記事では、白黒化の理由・対象14品・いつから・味や価格への影響・他メーカーへの波及まで、日本暮らしの目線で整理します。
TL;DR(この記事でわかること)
- 2026年5月25日出荷分から、カルビーの主力14品が 白黒2色刷り のパッケージに変わる
- 理由は ナフサ不足 による印刷インクの調達難。中東情勢でホルムズ海峡が事実上の封鎖状態になった影響
- 味・価格・内容量はすべて据え置き。中身は今まで通り
- 終了時期は 未定(インク調達が安定するまでの緊急措置)
- 伊藤ハムなど他社にも同様の動きが広がる可能性
免責事項: 本記事はカルビー社およびニュースメディアによる2026年5月時点の発表をもとに整理しています。対象商品や終了時期は今後変更される可能性があります。情報は2026年5月13日時点のもの。
まず安心してほしいこと:偽物でも回収品でもない
スーパーやコンビニで白黒のカルビー袋を見つけて、「これ本物?」と棚に戻したくなる気持ちはよくわかります。日本のお菓子は、袋の色を見ただけで味が当てられるくらい、色そのものが商品の目印になっているからです(黄色=うすしお、赤=コンソメパンチ、緑=のりしお、というように)。
ただ、今回の白黒袋は カルビー自身が公式に発表している正規パッケージ です。模倣品でもなければ、製造ミスでもありません。バーコードもJANも、中身の品質も、これまでと同じものです。
白黒パッケージは カルビー公式の正規品。中身(味・原材料・内容量)も価格もこれまでと同じです。
もう一点、よくある誤解として「鮮度落ち品を白黒にして安く売っているのでは?」というものがあります。これも違います。 印刷の仕様が変わっただけで、商品自体の鮮度や品質に違いはありません。
いつから・何が変わるのか
カルビーが発表した変更内容はとてもシンプルです。
- 開始時期: 2026年5月25日出荷分から、順次切り替え
- 変わるところ: パッケージの印刷を、フルカラーから 白黒2色刷り に
- 変わらないところ: 味、価格、内容量、原材料、安全性
- 終了時期: 未定(インク調達が安定するまでの緊急措置)
店頭に並ぶ順番は出荷スケジュール次第なので、5月末から6月にかけて、白黒袋とフルカラー袋が同じ棚に共存する時期が続く見込みです。同じうすしお味でも、店舗や入荷タイミングによって見た目が違う、という現象が当面続きます。
(参照:カルビー株式会社「中東情勢の影響による一部商品仕様見直しのお知らせ」(2026年5月12日付プレスリリース/PDF)/FNNプライムオンライン「カルビー『ポテトチップス』 "うすしお"や"コンソメ"などパッケージが白黒に」)
パッケージはすぐに全店一斉切り替えではなく、出荷分から順番に置き換わります。古い在庫が並ぶ店舗では、しばらくフルカラー版にも出会えます。
対象は主力14品。あなたの「推し」は入ってる?
報道各社の情報を整理すると、白黒化の対象は カルビーの主力14品。ポテトチップスの定番フレーバーから、フルグラなどのシリアル系まで、幅広く含まれています。
| カテゴリ | 商品名(例) |
|---|---|
| ポテトチップス | うすしお味、コンソメパンチ、のりしお、コンソメダブルパンチ ほか |
| 厚切りタイプ | 堅あげポテト |
| スナック | かっぱえびせん |
| じゃがいも系スナック | じゃがりこ、ジャガビー、ピザポテト、ポテトデラックス、サッポロポテト |
| シリアル | フルグラ、フルグラ糖質オフ ほか |
(参照:カルビー株式会社「中東情勢の影響による一部商品仕様見直しのお知らせ」(2026年5月12日付プレスリリース/PDF)/時事通信「カルビー、主力14品を白黒包装」)
正式な14品の完全リストは、カルビー公式のお知らせ(PDF)で確認できます。
なぜ白黒?理由は「ナフサ不足」
ここからが本題です。「インクが足りない」と聞いても、ぱっとイメージしづらいかもしれません。順番に分解します。
ナフサとは何か
ナフサ は、原油を蒸留したときに出てくる成分のひとつで、ガソリンに近い軽い油です。日本語では「粗製ガソリン」と呼ばれることもあります。
このナフサは、そのまま燃料として使うよりも、化学工業の原料として使われることが多いのが特徴です。プラスチック、合成繊維、ゴム、洗剤、塗料、そして 印刷インクの溶剤や樹脂 など、私たちの身の回りの石油化学製品のほとんどが、ナフサから作られています。
なぜナフサ不足がインクに直結するのか
印刷インクは、主に「顔料(色のもと)+樹脂(接着剤の役目)+溶剤(液体にする役目)」の3層構造でできています。このうち 樹脂と溶剤 の原料が、まさにナフサ由来。
つまりナフサが入ってこないと、
- インクを作る樹脂・溶剤が確保しづらくなる
- インクメーカーが減産・出荷制限をかける
- パッケージを印刷したい食品メーカーまで影響が回ってくる
という連鎖が起きます。お菓子の袋に色が乗らなくなる、という現象の裏には、原油→化学原料→インクという長いサプライチェーンがあるわけです。
なぜ「白と黒」なら印刷できるのか
ここで疑問が湧きます。「白黒も色じゃないの?インクは要るのでは?」と。
ポイントは 顔料の種類 にあります。
- 無機顔料(白・黒など): 炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラックなど、鉱物由来。石油化学に依存しない
- 有機顔料(赤・青・黄・緑などのカラフルな色): 多くが石油化学由来で、ナフサ不足の影響を受けやすい
つまり、白と黒は石油に頼らない原料で作れる ので、ナフサが手に入りづらい状況でも比較的安定して印刷できる。これがカルビーが「全停止」ではなく「白黒2色刷りで継続」という判断をした技術的な理由です。
(参照:ギズモード・ジャパン「カルビーのポテチが白黒パッケージに!なぜ白黒ならOK?」)
白黒2色刷り=最低限の印刷で商品を出し続けるための工夫。完全に出荷を止めるよりも、棚に並べ続けることを優先した判断と言えます。
なぜ今、ナフサ不足が起きているのか
ナフサ不足の背景には、2026年初頭からの中東情勢の緊迫化があります。原油輸送の要所である ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態 にあり、日本のエネルギー供給に影響が及んでいます。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾と外洋を結ぶ細い水路で、世界の原油輸出の約3割が通る要所です。日本にとっては特に重要で、 原油輸入の約9割 がこの海峡を経由しています。海峡が滞ると、日本の原油確保もそのまま影響を受けます。
(参照:Bloomberg「カルビー、『ポテトチップス』などのパッケージを白黒に―インク不足」/CNN「Calbee chips switch to black-and-white packaging amid Middle East supply disruptions」)
ホルムズ海峡 → 原油 → ナフサ → 印刷インク → お菓子の袋。一見遠そうな出来事が、こうしてつながっています。
カルビー以外にも広がる?他メーカーの動き
今回の白黒化は、カルビーだけの話で終わりそうにありません。報道では、すでに同じ方向の検討に入っている企業がいくつか挙がっています。
- 伊藤ハム米久ホールディングス: 白黒包装への切り替えを検討中
- 乾麺メーカー各社: 2026年6月から無地包装への移行を進める動き
- 政府の動き: 官房副長官は「直ちに供給上の問題が生じるとの報告は受けていない」としつつ、関係業界へのヒアリングを進める方針
(参照:日本経済新聞「カルビー、ポテトチップスなど白黒包装に インク不足で伊藤ハムも検討」)
スーパーの棚を思い浮かべると、ハム、乾麺、お菓子と、対象が広がるほど店頭の景色は大きく変わります。今後数週間〜数ヶ月で、白黒パッケージを見かける機会は増えていきそうです。
日本暮らしの目線で押さえておきたいこと
最後に、日本で生活している立場で「これだけは押さえておきたい」というポイントをまとめます。
1. 焦って買い占めなくて大丈夫
味・価格・内容量は変わりません。「色がついているうちに買いだめしよう」というインセンティブは特にありません。むしろ買い占めは品薄を招いて、本当に必要な人に行き渡らなくなる原因になります。
2. 他カテゴリにも目を向けておく
今後、ハム・乾麺・冷凍食品など、ナフサ由来の包装に依存している商品はどれも対象になり得ます。値段は据え置きでも、 見た目が変わる商品が増える ことを前提に、店頭での「あれ?」を楽しむくらいの気持ちでいるとちょうど良いかもしれません。
普段のお買い物については、コンビニで使える節約術と食品ガイドやデパ地下グルメガイドも合わせてどうぞ。
FAQ(よくある質問)
Q. 白黒パッケージはいつまで続きますか?
A. 終了時期は未定 です。カルビーは「インク調達が安定するまでの緊急措置」と説明しています。ホルムズ海峡の状況や、印刷インクの供給網の回復ペースによって、数ヶ月から1年以上の長期化もあり得ます。
Q. 味や原材料は変わりますか?
A. 変わりません。今回の変更はあくまでパッケージの印刷仕様のみで、中身(原材料・製法・内容量)はこれまで通りです。
Q. 値段は変わりますか?
A. 今回の白黒化に伴う値上げは発表されていません。ただし、ナフサ不足は包装フィルム自体や物流コストにも影響するため、別の理由で食品全体の価格改定が今後発生する可能性はあります。
Q. 子どもがよく食べる「じゃがりこ」や「フルグラ」も対象ですか?
A. はい、報道によれば じゃがりこ・ジャガビー・フルグラ も14品の中に含まれる見込みです。中身は同じなので、子どもが「いつもの味じゃない」と感じることはありません。
Q. 海外で売っているカルビー商品も白黒になりますか?
A. 2026年5月13日時点では、国内向け14品 に関する発表のみです。海外向けはサプライチェーンが異なるため、現地のパッケージは当面変わらない見込みです。
Q. 他のお菓子メーカー(湖池屋、亀田製菓など)も追随しますか?
A. 2026年5月13日時点では、湖池屋や亀田製菓からの白黒化発表はありません。ただし、伊藤ハムは検討段階、乾麺各社は無地包装への移行を進めており、 食品業界全体で類似の動きが広がる可能性 は高いと見られています。
Key Takeaways(まとめ)
- ✅ 2026年5月25日出荷分から、カルビー主力14品が白黒2色刷りに切り替わる
- ✅ 偽物でも回収品でもなく、 カルビー公式の正規品
- ✅ 味・価格・内容量はすべて据え置き
- ✅ 原因は中東情勢起因のナフサ不足→印刷インク調達難
- ✅ 終了時期は未定。伊藤ハムなど他社にも波及の可能性
店頭で白黒袋を見かけても、慌てず手に取ってOK。中身はいつものうすしお、いつものコンソメパンチです。今日のおやつに、気になっていたフレーバーをぜひ。