はじめに
求人票の「日本語:日常会話レベル以上」という1行を見て、応募をやめたことはありませんか。
実は、その1行を自分から書き直したお店があります。京都にある、伝統工芸品(昔から伝わる手作りの品物)のお店です。「日本語はあいさつでいい。そのかわり、英語で接客してほしい」。条件をそう変えたところ、116人・46カ国から応募が集まりました(参照:ヨロワーク採用事例)。
採用されたのは、インドネシア出身の29歳の女性です。在留資格は家族滞在。日本語はあいさつ程度でした。お店からスカウトが来たのではありません。彼女が自分で求人を見つけて、自分で応募しました。
何が決め手になったのか、応募から採用までの流れを見ていきましょう。
この記事は情報を伝えるためのもので、法律のアドバイスではありません。在留資格のルールは変わることがあるので、働く前に出入国在留管理庁の公式サイトで新しい情報を確認してください。 なお、この記事の写真はイメージです。採用された方ご本人の写真ではありません。
どんな人が採用されたか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出身 | インドネシア |
| 年齢・性別 | 29歳・女性 |
| 在留資格 | 家族滞在 |
| 日本語レベル | あいさつ程度 |
| これまでの仕事 | お客様に対応する仕事を5年以上。海外(ドバイ)の5つ星ホテルで、シニアホステス(お客様の案内を担当する上級スタッフ)として接客にあたっていた |
| 住まい | 京都市 |
どんな仕事に採用されたか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 伝統工芸品(昔から伝わる手作りの品物)のお店(刃物の専門店) |
| 職種 | 販売・接客スタッフ |
| 雇用形態 | アルバイト |
| 時給 | 1,150円 |
| 経験 | 未経験歓迎 |
| 勤務地 | 京都市 |
| 入社予定日 | 2026年9月1日 |
求人を書き直したら、何が起きたか
実は、この求人を出したお店も、同じことで困っていました。採用したのは、京都市にある伝統工芸品のお店です。刃物(包丁やナイフなど)を専門に扱っていて、店に来るお客様のほとんどが海外からの旅行者でした。
ここに、問題がありました。お客様は海外からの旅行者が中心なのに、これまでの求人では日本語のレベルを「日常会話以上」に設定していたのです。結果として、本当に必要だった英語での接客力を持つ人が、応募しづらい求人になっていました。
そこでお店は、求人の中身を見直しました。日本語レベルの条件を下げるだけでなく、「外国人大活躍中」「伝統工芸に興味のある方大歓迎」と、実際に活躍しているスタッフの様子や、お店がどんな人に来てほしいかを、そのまま書いたのです。時給は1,150円、未経験歓迎という条件も添えました(参照:ヨロワーク採用事例)。
求人の日本語レベル欄だけを見て、「自分には無理そう」と応募をやめてしまった経験、ありませんか。このお店の求人は、そういう不安を持つ人にこそ届くように書き直されたものでした。
その結果、応募は116人、46カ国から集まりました(参照:ヨロワーク採用事例)。
数だけ見ると、「そんなに多いなら、自分には無理だ」と思うかもしれません。でも、この116人は、日本語の条件が「日常会話以上」だったときには応募できなかった人たちです。条件が変わったから、応募できる人が116人になりました。あなたも、その116人の中にいたかもしれません。
なぜ彼女が選ばれたのか
採用担当者は、選考のポイントをこう振り返っています。
「うちの店はお客様の多くが海外からの旅行者で、商品の説明も日本語だけでは伝わりきらないことがよくありました。ただ、接客職ということでどうしても『日本語は日常会話以上』と書いてしまい、本当に必要な力を持った方に届いていなかったのだと思います」
これまでの採用基準は、日本語のレベルばかりを見ていました。でも実際にお店で必要だったのは、海外から来たお客様に商品の魅力を伝えられる力です。彼女はお客様に対応する仕事を5年以上してきました。海外(ドバイ)の5つ星ホテルではシニアホステスとして働き、予約の管理や、特に大切なお客様への対応も任されていました。忙しくて気をつかう仕事場を、長いあいだ任されてきた人です。月間最優秀社員(その月にいちばん活躍した人に贈られる賞)に選ばれたこともあります(参照:ヨロワーク採用事例)。
こうした経験は、細かいところまで気を配れることと、落ち着いて物事に対応できることの証拠だと、お店は考えました。日本語があいさつ程度でも、英語での接客力があれば、海外からのお客様が多いこのお店ではすぐに頼れる人になる。そう判断されたのです。
採用担当者は、彼女についてこう話しています。海外(ドバイ)の高級ホテルで長く接客をしてきた経験があるからこそ、伝統工芸という商品の価値を丁寧に伝えてくれる方に来てもらえた、と感じているそうです。
「海外の5つ星ホテル」と聞くと、自分とは関係のない話に思えるかもしれません。でも、お店が見ていたのは、働いていた場所の名前ではありません。お客様が何に困っているかに気づけること。忙しいときでも落ち着いて話せること。この2つです。母国のお店やレストラン、日本のコンビニでの接客でも、同じことをしてきた人はたくさんいます。大事なのは、それを応募のときに言葉にして伝えることです。
お店が見ていたのは、日本語が完璧かどうかではありませんでした。見ていたのは、お客様にきちんと向き合ってきた経験です。忙しくて気をつかう仕事場での接客経験や、細かいところへの気配りは、日本語のレベルでは測れません。あなたがこれまでの仕事で積み重ねてきた接客力も、同じように評価される場所があります。
今日からできる3つのこと
彼女の話は、特別な人だけができたことではありません。同じような状況にいる人が、今日からまねできることが3つあります。
1. 接客経験は「場面」で書き出す。「ホテルで働いていました」で終わらせず、予約の管理、特に大切なお客様への対応、お客様から苦情を言われたときの対応など、実際にどんな場面を任されていたのかを具体的に書きましょう。それだけで、忙しくて気をつかう仕事場でも動ける人だと伝わります。
2. 日本語レベルの欄であきらめない。「あいさつ程度」だからと応募をやめる前に、自分が使える言語での接客経験をはっきり伝えましょう。今回のように、日本語よりも英語や他の言語での対応力を求めているお店は、実際にあります。YOLO JAPANの求人には、日本語レベルを問わない案件もたくさんあるので、まずは探してみると安心です。
3. 「未経験歓迎」「外国人大活躍中」と書かれた求人を見逃さない。こうした言葉を添えている求人は、日本語のレベルよりも、これまでの経験やその人の性格を見ようとしている、という意味です。
文章で経験をうまく伝えられないと感じるなら、動画で自己紹介する方法もあります。名前や得意なこと、これまでの仕事について、自分の言葉で1分ほど話すだけで、プロフィールに追加できます。
(YOLO JAPANの書類選考ビデオを使えば、文字だけでは伝わらない性格ややる気を、直接見せられます)
もう1つ、大事なことがあります。この採用は、お店からのスカウトで始まったのではありません。彼女が自分で求人を見つけて、自分で応募しました(参照:ヨロワーク採用事例)。スカウトを待たなくても、自分から応募したことが、そのまま採用につながっています。
日本語レベルや在留資格の種類がちがっても、経験の伝え方ひとつで採用につながることもあります。就活ビザ(特定活動)の36歳女性が12日で採用された話も、同じヨロワークの採用事例から生まれたストーリーです。
Stories
就活ビザでもアルバイトはできる?特定活動の36歳女性が12日で採用された話
就職活動中の特定活動ビザ(就活ビザ)でもアルバイトはできる?ミャンマー出身の36歳女性が、資格外活動許可を使って東京の海鮮丼のお店に応募から12日で採用された話です。週28時間までのルール、求人の選び方、年齢の不安への答えを、やさしい日本語…
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家族滞在ビザでアルバイトをするための条件
最後に、一番大事なルールを確認しましょう。家族滞在ビザは、配偶者(夫や妻)や子として日本にいる人のための在留資格です。本来は、生活を支えてもらう家族のためのビザなので、そのままではアルバイトができません。
働くには、出入国在留管理庁に申請して「資格外活動許可」(アルバイトをしてもいいという許可)をもらう必要があります。許可が下りれば、週28時間以内でアルバイトができます。
(参照:出入国在留管理庁「『家族滞在』の在留資格に係る資格外活動許可について」)
今回のケースでも、2026年9月1日の入社日までに、この許可の手続きを済ませておく必要がありました。
- 資格外活動許可を取ること。在留カードの裏面にスタンプが押されてから働き始める
- 週28時間以内を守ること。掛け持ちする場合(2つ以上の仕事をする場合)は合計で28時間以内
- 法律で決まっている一部のお店(パチンコ店、キャバクラなど)では働けないこと
「採用が決まったから、少しくらい早く働き始めても大丈夫」は間違いです。許可が下りる前に働くと不法就労(許可なく働くこと)になり、扶養者(生活を支えている家族)の在留資格にまで影響が及ぶことがあります。必ず在留カードの裏面で許可を確認してから働き始めてください。
留学ビザの資格外活動許可には、長期休暇中は1日8時間まで働ける特別なルールがありますが、家族滞在にはこの特別なルールがありません。年間を通じて週28時間が上限になります。
資格外活動許可の申請方法や、週28時間の正確な数え方、フルタイムで働きたくなったときの選択肢は、別の記事で詳しく説明しています。
家族滞在ビザそのものの対象範囲や必要書類については、こちらを参考にしてください。
働き始める前に、アルバイト初日に必要な書類と持ち物もまとめて確認しておきましょう。
Work & Career
アルバイトの必要書類:初日に揃えるものと入社手続き
日本でアルバイトを始めるとき、初日までに何を用意すればいいのかを実務ベースで整理しました。在留カードの許可の確認、マイナンバーの伝え方、給与振込口座、緊急連絡先まで、必ず必要な5点と会社によって求められる書類、初日までの逆算スケジュールをま…
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よくある質問
Q: 家族滞在ビザでもアルバイトはできますか?
A: できます。ただし、出入国在留管理庁で資格外活動許可を取ることが条件です。許可が下りれば、週28時間以内でアルバイトができます。
Q: 家族滞在ビザで、日本語が話せなくても接客の仕事に応募していいですか?
A: 応募できます。求人によっては、日本語よりも英語などでの接客経験が評価されます。今回のケースも、海外からのお客様が多いお店でした。求人の日本語レベル欄だけで判断せず、実際にどんな業務をするのか、説明文まで読んでみましょう。
Q: 家族滞在ビザでフルタイムで働くことはできますか?
A: できません。資格外活動許可を取っても、上限は週28時間です。フルタイムで働きたい場合は、仕事の内容に合った就労ビザへの在留資格変更が必要になります。変更の条件は家族滞在ビザの「資格外活動許可」完全ガイドで説明しています。
Q: 家族滞在ビザでアルバイトをすると、扶養から外れますか?
A: 週28時間以内という在留資格のルールと、税金や社会保険の「扶養」の基準は別のものです。年収がいくらを超えると扶養から外れるかは、扶養者(生活を支えている家族)の勤務先の制度や、加入している保険によって変わります。働き始める前に、扶養者の勤務先に確認してください。
まとめ 日本語のレベルより、伝え方で決まる
- ✅ 接客経験は場面で書き出す。担当した業務を具体的に伝えれば、日本語のレベルだけでは測れない力が伝わります
- ✅ 資格外活動許可を確認する。働き始める前に、在留カードの裏面で許可のスタンプを確認しましょう
- ✅ 求人の言葉に注目する。「未経験歓迎」「外国人大活躍中」といった言葉は、経験やその人の性格を見ようとしている、という意味です
日本語のレベルは、あなたの接客力のすべてを表すものではありません。これまでの仕事で積み重ねてきた経験をきちんと言葉にして伝えれば、あなたを必要としているお店は、探せば見つかります。
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