はじめに
晴れた日の夕方、太陽が沈んだあとの西の空を見上げると、ひときわ明るく輝く星が見つかります。これが金星です。日本では昔から「宵の明星(よいのみょうじょう)」と呼ばれ、夕方の空で月を除けばいちばん明るく見える天体です。
2026年6月下旬の今、この金星が見頃を迎えています。すぐ近くの低い空には木星も見えますが、こちらは月末にかけて沈む時間が早くなり、だんだん見えにくくなっていきます。望遠鏡はいりません。日没後に、西の空が開けた場所へ出れば、肉眼でそのまま楽しめます。
この記事では、金星と木星の見つけ方、観察に向いた時間と場所、そして「6月27日に4つの惑星が並ぶ」といった情報をめぐる注意点をまとめます。
TL;DR(この記事でわかること)
- 主役は金星: マイナス4等ほどの明るさで、日没後の西の空でいちばん目立ちます。6月いっぱいは見頃が続きます
- 木星は早めに: 西の低い空に見えますが、月末にかけて沈む時間が早くなり、条件が厳しくなります
- 見る時間: 日の入りの30分〜1時間後。空が暗くなりきる前の、まだ少し明るい時間帯
- 方角と道具: 西の空。肉眼でOK、双眼鏡があるとなお楽しめます
- 注意: 「6月25日ごろに水星が見頃」「6月27日に月・水星・金星・木星の4天体が並ぶ」という情報は時期がずれています(後述)
免責事項: 本記事は国立天文台(NAOJ)とNASAが公開している2026年6月の星空情報をもとに、2026年6月23日時点で整理しています。星の見え方は場所や天候によって変わります。
まず確認:「6月27日に4天体が並ぶ」は時期がずれています
ここ数日、「6月27日まで西の空に月・水星・金星・木星の4つが並ぶ」「水星を見るなら6月27日が最後のチャンス」といった話が出回っていますが、日付がずれています。
国立天文台によると、月が水星・木星・金星に近づいて見えたのは6月16日から18日で、すでに過ぎています。水星がいちばん見やすかったのも、夕方の空で太陽から最も離れる「東方最大離角(とうほうさいだいりかく)」になった6月16日で、6月下旬の今は夕焼けの明るさにまぎれて肉眼ではほぼ見えません。
月についても、6月の新月は6月15日、満月は6月30日です。6月27日ごろの月は満月に近く、夕方の西の空には出ていません(細い三日月になるのは新月の前後だけです)。
(参照:国立天文台 月が水星・木星・金星に接近(2026年6月))
(参照:国立天文台 東京の星空・カレンダー・惑星(2026年6月))
つまり、6月27日の日没後に西の空を見ても、4天体が並ぶ様子や細い月、水星は見えません。今、確実に楽しめるのは金星、そして条件が合えば木星です。
6月下旬の夕方の西空で見えるのは、金星(とても明るい)と木星(低い位置)です。水星・月・「4天体の並び」は、今からでは見られません。
主役は金星(宵の明星)
金星は今、夕方の西の空で最も明るく輝いています。明るさはマイナス4等ほどで、星の中ではずば抜けて明るく、空がまだ少し明るいうちから見つけられます。日が沈んで30分ほど経つと、西の空のやや高いところに、白く強く光る点として見えてきます。
金星は地球より内側を回る惑星で、しばらくのあいだ夕方の空に居続けます。6月いっぱいは見頃が続くので、その日が曇っていても、別の晴れた夕方にあらためて探せば大丈夫です。
(参照:国立天文台 東京の星空・カレンダー・惑星(2026年6月))
木星を見るなら月末までに
金星の近く、もう少し低いところには木星も見えています。明るさはマイナス2等ほどで、金星ほどではありませんが、十分に目立つ明るさです。白っぽく、落ち着いた光に見えます。
ただし木星は、6月の終わりにかけて沈む時間が早くなっていきます。日没後すぐに低い空へ傾いてしまうため、見るならできるだけ早い時間(日没後30分ごろ)に、西の空が低いところまで開けた場所で探すのがおすすめです。月末に近づくほど条件は厳しくなります。
金星と木星は6月9日ごろに最も近づいて並んで見えました。今はその時期より少し離れていますが、2つの明るい星が夕方の西の空に出ているのは今も同じです。
(参照:NASA What’s Up: June 2026)
見方のコツ
特別な道具はいりません。次の4つを押さえれば、初めてでも見つけられます。
- 時間: 日の入りの30分〜1時間後。暗くなりきる前の、西の空がまだ少し明るい時間帯がねらい目です
- 方角: 西。スマートフォンのコンパス(方位磁石)アプリで西を確認すると確実です
- 場所: 西の空が建物にさえぎられず、低いところまで開けた場所。公園や河川敷(川沿いの広い土手)が向いています
- 道具: 肉眼で見えます。双眼鏡があれば、木星のそばに並ぶ衛星なども見えてさらに楽しめます
都市部でも、金星と木星は明るいので、東京や大阪の市街地からでも十分見えます。街灯の光が直接当たらない公園や川沿いを選べば、よりはっきり見えます。
星の位置を確かめたいときは、スマートフォンの星空アプリ(SkySafari、Star Walk 2 など)が便利です。スマホをかざした方向の星を表示してくれるので、雲の切れ間からさっと探すときに役立ちます。
日本で暮らす目線で
日本の街なかには、思っているより星を見やすい場所があります。川沿いの土手、お城の公園、西側が開けた広い公園など、わざわざ遠くへ行かなくても夕方の空を見上げられます。
母国の家族と離れて暮らしている場合でも、金星や木星のような明るい星は、地球上のどこからでも、晴れていれば同じように見えます。夕方の空をスマホで一枚撮って送るだけでも、離れた家族との共通の話題になります。
「宵の明星」という言葉は、日本のニュースや天気予報、日常の会話にもときどき出てきます。金星のことだと知っておくと、耳にしたときに分かって便利です。
梅雨の時期は曇りの日が多いですが、晴れ間は必ずあります。晴れ間の活かし方は2026年の梅雨ガイドも参考にしてください。夏の日本の楽しみ方はFIFAワールドカップ2026と日本でも紹介しています。
FAQ(よくある質問)
Q. 6月27日に西の空で4つの惑星が並ぶと聞きましたが、本当ですか?
A. いいえ、時期がずれています。月が水星・木星・金星に近づいて見えたのは6月16〜18日で、すでに過ぎています。6月27日の夕方に見えるのは、主に金星と、条件が合えば木星です。
Q. 水星は今からでも見られますか?
A. 6月下旬はむずかしいです。水星がいちばん見やすかったのは6月16日ごろで、今は夕焼けの明るさにまぎれて肉眼ではほぼ見えません。水星は太陽の近くを回るため、見やすい時期が年に数回しかありません。
Q. 梅雨でも見えますか?
A. 曇りの日が多いですが、晴れる夕方はあります。金星は6月いっぱい見頃が続くので、晴れた日にあらためて西の空を探せば大丈夫です。あせって一日で見ようとしなくて構いません。
Q. 都会でも見えますか?街の明かりが心配です。
A. 見えます。金星も木星も明るいので、東京や大阪の市街地からでも見つけられます。街灯の光が直接当たらない公園や川沿いを選ぶと、よりはっきり見えます。
Q. 望遠鏡や双眼鏡は必要ですか?
A. 必要ありません。どちらも肉眼で見える明るさです。双眼鏡があれば、木星のそばの衛星などが見えて、より楽しめます。
Q. 子どもと一緒に楽しめますか?
A. はい。すべて肉眼で見えるので、小さな子どもでも一緒に楽しめます。「いちばん明るいのが金星だよ」と教えてあげると、星空に親しむきっかけになります。
Key Takeaways(まとめ)
- ✅ 今の主役は金星(宵の明星)。マイナス4等ほどで、日没後の西の空でいちばん明るく光ります
- ✅ 木星も見えますが、月末にかけて沈む時間が早くなるので、見るなら早めの時間に
- ✅ 見るのは日の入りの30分〜1時間後、西の空。肉眼でOK、双眼鏡があるとなお楽しめます
- ✅ 「6月27日に4天体が並ぶ・水星が見頃」という情報は時期がずれています。今見えるのは金星と木星です
- ✅ 都市部でも見えるので、西の空が開けた公園や川沿いで、晴れた夕方に見上げてみましょう
晴れた夕方は、夕食のあとに数分だけ外に出て、西の空を見上げてみてください。いちばん明るく光っているのが金星です。その近くの低いところに見える、少し控えめな光が木星です。スマホで一枚撮って、遠くの家族や友だちと夕方の空を共有するのも、楽しい過ごし方です。