【2026最新】スタートアップビザ完全ガイド|在留資格変更から経営管理ビザ切替までの申請手順

Published: 2026年4月29日
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Updated: 2026年4月30日
【2026最新】スタートアップビザ完全ガイド|在留資格変更から経営管理ビザ切替までの申請手順
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はじめに

「日本でビジネスを立ち上げたいけれど、今のビザでは経営活動ができない」。技人国や家族滞在、留学のまま日本で暮らしている私たちが、起業を考えたときに最初にぶつかる壁です。

この壁を埋めるのが スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業) 。経営管理ビザの条件を整える前段階として、最長2年間の在留が認められる「特定活動」の在留資格です。2025年1月に制度が全国一本化され、2025年10月の経営管理ビザ改正で切替時のハードルも上がっています。本記事では、技人国・留学・家族滞在から切り替えてスタートアップビザを取り、経営管理ビザに到達するまでの実務をまとめます。

TL;DR(この記事でわかること)

  • 2025年1月、制度は経済産業省方式へ全国一本化。在留期間は最長2年
  • すでに日本で暮らしている人は「在留資格変更許可申請」で取得可能(技人国・留学・家族滞在から)
  • 経営管理ビザの新要件(資本金3,000万円・常勤職員1名・JLPT N2)が事実上の到達目標
  • 申請は「認定団体の確認書取得 → 入管」の2段階審査、合計3〜6ヶ月
  • JETROによれば2024年5月時点で累計716人が取得、うち359人が経営管理ビザへ移行成功

免責事項: 本記事は2026年4月時点の経済産業省・出入国在留管理庁および各自治体の公表情報に基づく解説であり、法的助言ではありません。具体的な申請については各自治体の窓口・行政書士などの専門家にご相談ください。


スタートアップビザとは|「経営管理ビザの準備期間」として使える在留資格

外国人が日本で経営者として活動するには 経営管理ビザ が必要ですが、このビザは会社設立・資本金・事務所・社員雇用がそろって初めて申請できる「ゴール側」の在留資格。準備段階の私たちにとっては、条件と現実のギャップが大きすぎます。

このギャップを埋めるのが スタートアップビザ 。経済産業大臣が認定した自治体や民間VC・アクセラレーターが事業計画を確認し、確認証明書を発行することで、起業準備のための「特定活動」が 最長2年 与えられる仕組みです(参照:経済産業省「外国人起業活動促進事業」)。

💡 Key Point

スタートアップビザは「会社を経営するためのビザ」ではなく「会社設立準備のためのビザ」。在留期間中に経営管理ビザの条件を満たして切替えるのが制度設計のゴールです。

日本で暮らしながら申請する3つのメリット

  1. 既存ビザからの変更で取得できる:留学・技人国・家族滞在・配偶者ビザなどから「在留資格変更許可申請」で切替可能
  2. 猶予期間がもらえる:経営管理ビザの「事業所確保」「資本金」要件を 最大2年間猶予
  3. 自治体・民間VCの伴走:コワーキング、メンター、補助金マッチングなど、認定団体ごとの支援メニューが利用可能

特定活動全体の枠組みや「指定書」の読み方は、「特定活動」在留資格とは:種類一覧・指定書の見方 を確認してください。


2025年制度一本化と経営管理ビザ改正|申請前に知っておくべき変化

スタートアップビザを語るうえで、2025年に起きた 2つの大きな制度変更 を押さえておく必要があります。日本で起業を考える人が「いつ・どう動くか」を判断する前提条件です。

変化①:2025年1月、制度が一本化され全国展開へ

2025年より前は、似た目的の制度が 2つ並んで動いていました

旧制度 在留資格 期間 対象
国家戦略特区方式 経営・管理(特例) 6ヶ月 東京都・神奈川県・京都府など13自治体
経済産業省方式 特定活動44号 最長1年 福岡市・大阪市・愛知県など18自治体

これが2025年1月から 経済産業省の制度ひとつに統合 されました。新制度のポイントは3つ。

  • 経済産業大臣の認定を受けた自治体や民間事業者なら、全国どこでも申請できる
  • 在留期間は 最長2年 に延長(旧制度の最長1年から倍増)
  • 在留資格は 特定活動44号 に統一

旧制度の「国家戦略特区方式」は確認書発行が 2025年12月で終了。東京都・京都府などはあらためて経済産業大臣から認定を取り直し、新制度に乗り換えています(参照:経済産業省告示2025年1月1日施行/内閣府「国家戦略特別区域スタートアップビザの全国展開」)。これから申請する人は 経済産業省方式だけを見ればOK です。

変化②:2025年10月、経営管理ビザの要件が大きく上がった

2025年10月の経営管理ビザの改正で、新しく加わった条件は次の 5つ です。

  1. 資本金が3,000万円以上(または同等の額を会社に投資していること)
  2. フルタイムで働く社員を1人以上雇うこと(雇える対象は日本人、または永住者・配偶者ビザなど就労制限のないビザを持つ人)
  3. JLPT N2レベルの日本語力(申請者本人、または雇った社員のどちらかが満たせばOK)
  4. 経営経験3年以上、または修士以上の学位
  5. 事業計画書に専門家のチェック(中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかから「妥当」とお墨付きをもらう)

経営管理ビザの中身そのものは 経営管理ビザ取得・更新ガイド で詳しく解説しています。

これから申請する人にとっての意味

「最長2年に延びた」というメリットの裏で、「2年でクリアしないといけない宿題」も重くなりました。スタートアップビザの期間を、ただ過ごしてしまうと、切り替えるときに資本金や日本語力で詰まってしまいます。

🚨 Important

改正前は「会社さえ作れば経営管理ビザに切替えられた」のが、改正後は 資本金3,000万円・常勤職員・JLPT N2 をすべて満たす必要があります。スタートアップビザ期間中の資金計画と人材計画は、改正前より明確に重い宿題になっています。


申請する窓口の選び方|業種・生活コスト・言語サポートの3つの軸

スタートアップビザは「経済産業省 → あなた」と直接やり取りするわけではありません。経済産業省から「スタートアップビザの窓口になっていいですよ」と認められた自治体や民間企業に、事業計画を出す 仕組みです。この窓口を本記事ではまとめて 「認定団体」 と呼びます。

全国どこでも申請できるようになったとはいえ、「どこに出しても同じ結果」というわけではありません。認定団体ごとに 得意な業種・もらえるサポートの種類・求められる日本語レベル が違うので、次の3つの軸で選んでいきましょう。

主要な認定団体(2026年4月時点)

下の表は、経済産業省から認められている主な認定団体です。最新の一覧は 経済産業省 外国人起業活動促進事業 で確認できます。

エリア 認定団体(例) 得意な分野
北海道・東北 北海道、仙台市 IT、観光、農林水産
関東 茨城県、横浜市、渋谷区、新潟県、東京都 テック、グローバル展開
中部・東海 浜松市、愛知県、岐阜県、三重県 製造業、ものづくり
近畿 京都府、大阪市、兵庫県、神戸市 バイオ、ヘルスケア
九州 福岡市、大分県 グローバルスタートアップ、IT
民間(VC・アクセラレーター) 国に認められた投資会社・起業支援会社 各社の投資テーマに沿った分野

申請先は大きく 2種類 に分かれます。

  • 自治体ルート:都道府県や市区町村の窓口に事業計画を出す
  • 民間ルート:国に認められたVC(ベンチャーキャピタル)やアクセラレーター(起業支援会社)に出す

2023年10月から民間企業も「確認書」を出せるようになったので、自分の事業計画と相性のいい方を選べます(参照:JETRO「施行から9年、日本における『スタートアップビザ』の現在地」、2024年)。

軸1:自分のビジネスと認定団体の得意分野が合っているか

認定団体には「自分たちはこの分野のスタートアップを応援したい」というカラーがあります。代表的な相性は次のとおりです。

  • IT・テック系 → 渋谷区、福岡市、京都府、横浜市、東京都
  • ものづくり・製造業 → 浜松市、愛知県、神戸市、岐阜県
  • バイオ・ヘルスケア → 神戸市、京都府、大阪市
  • 観光・地域おこし → 北海道、新潟県、大分県、茨城県
  • VCの投資テーマと一致するスタートアップ → 民間ルート

自分のビジネスと認定団体のカラーが合っていると、確認書が出やすいだけでなく、起業後にも 補助金・メンター紹介・取引先の紹介 など、お金や人脈の面で恩恵が大きくなります。

東京都を例に挙げると、対象になる業種は 金融・IT・環境エネルギー・医療福祉・文化芸術・食品/農林水産・卸売小売など8分野 に限定されています(参照:東京都 Invest Tokyo「スタートアップビザ」)。申請する前に、この一覧と自分のビジネスが当てはまるかチェックしましょう。

軸2:日本で暮らしながら起業する場合の生活コスト

スタートアップビザの期間中は 収入を伴うアルバイトが基本的にできない(資格外活動許可の範囲内を除く)ため、生活費は自己資金で賄う前提。家族帯同なら配偶者・子供の生活費も含めて計算しておきましょう。

エリア 生活コスト 国際性・家族帯同のしやすさ
東京都・渋谷区 高め 国際校・外国人向け医療充実、家賃高
福岡市・神戸市・浜松市 抑えやすい 国際コミュニティあり、家族向け住環境良
大阪市・京都府 中程度 国際コミュニティ・文化拠点

具体的な家賃や物価は物件・時期で振れ幅が大きいので、住みたい区市町村ごとに最新の不動産サイトで相場を確認しておくと安心です。

軸3:日本語の壁と支援体制

書類提出は基本的に 日本語が必須 ですが、相談窓口や面談を英語対応している自治体(福岡市・東京都・横浜市・神戸市など)もあります。事前に「英語で相談できますか?」と問い合わせておきましょう。

✅ Tip

認定団体選びに迷ったら、半日休みを取って自治体窓口を直接訪問するのがおすすめ。Webサイトには載らない実態(コワーキングの混み具合、メンターの専門領域、英語対応の手厚さ)が見えます。


スタートアップビザの取得要件|押さえるべき条件

細かい条件は認定団体によって少しずつ違いますが、どこに出しても求められる基本ラインは次の通りです。

共通の条件

  • 日本で これから新しいビジネスを始める 意思があること
  • 事業計画書(ビジネスプラン)を提出できること
  • 在留期間(最長2年)の間に、経営管理ビザの条件を満たせる見込み があること
  • これまでの学歴や仕事の経験から、そのビジネスを実際に動かせる力 があると示せること
  • 反社会的勢力(暴力団など)と関係がないこと

今のビザから変更できる主なケース

すでに日本に住んでいる方は、いま持っている在留資格から 「在留資格変更許可申請」(今のビザを別のビザに切り替える申請)でスタートアップビザに移ります。よく変更が認められるパターンはこちらです。

今のビザ 変更するときに気をつけたいこと
技術・人文知識・国際業務(技人国) 会社を辞める時期を決めておく。住民税・所得税・社会保険を払い終えていることが前提
留学 卒業後でも、在学中の起業準備でも使える。日本語学校に通っている段階だと対象外になることも
家族滞在 あなたを扶養している家族の同意と、生活費のやりくりを整理しておく
配偶者ビザ(日本人/永住者) このビザならもともと経営活動ができるので、わざわざ変更する必要はあまりない
特定活動(J-Find・就活継続など) 起業準備に絞り込めれば変更できる

最近は、卒業後に就活継続として特定活動を取った後、起業に切り替える人も増えています。就活ビザの枠組みは 特定活動ビザの就活継続ガイド も合わせて確認すると、自分のルートが見えやすくなります。

🚨 Important

認定団体が応援している分野と、自分の事業計画がずれていると、確認書(後述)が出ません。例えば、IT系を応援している渋谷区にバイオ研究の計画を出したり、ものづくり中心の神戸市にエンタメIT系の計画を出しても通りにくいです。自分のビジネスと認定団体のカラーが合っているか を最初に確認しましょう。


申請の流れ|2つの審査をくぐり抜ける

スタートアップビザの取得手続きは、「認定団体の審査」→「入管(出入国在留管理庁)の審査」 という2段階に分かれています。すでに日本で暮らしている方は、今のビザを切り替える「在留資格変更許可申請」を使うのが基本のルートです。

Step1:認定団体に事業計画を出す

まず、自分が選んだ認定団体(自治体や民間企業)の窓口に 起業準備活動計画書(スタートアップビザ用に書く事業計画のフォーム)を提出します。よく求められる書類は次の通り。

  • 起業準備活動計画書(自治体・民間それぞれが指定するフォーマット)
  • 事業計画書(5年分くらいの売上・経費の見通しを含む)
  • 履歴書・職歴証明書
  • パスポートと在留カードのコピー
  • 学歴証明書
  • これまでに起業や経営をした経験があれば、それを示す資料
  • 資金計画書(自分のお金・銀行融資・他からの出資の内訳)
  • 6ヶ月以上、日本で住む場所を確保できる計画
  • 自分の資金がいくらあるか証明する書類(銀行の残高証明書など)

審査では、計画の 「本当に実現できるか・新しいアイデアか・その地域の役に立つか」 がチェックされます。福岡市などの一部の自治体では、中小企業診断士(中小企業の経営をアドバイスする国家資格を持った専門家)が事業計画について面談をするステップが入ります。書類を出してから結果が出るまでは通常 1〜2ヶ月。書類に不備があるとやり直しになるので、早めに出すのが安全です。

Step2:入管に「ビザを切り替えてください」と申請する

認定団体から 確認書起業準備活動確認書 または 創業活動確認書 という名前の、「この人の事業計画は問題ないですよ」という証明書)が出たら、入管に 在留資格変更許可申請(今のビザをスタートアップビザに切り替える申請)を出します。確認書の有効期限は通常 発行から6ヶ月 なので、もらったらすぐ動き出しましょう。

入管に出す書類

  • 在留資格変更許可申請書(入管のフォーム)
  • 写真(4cm×3cm)
  • 認定団体が発行した 確認書
  • 在留カード・パスポート
  • 履歴書、事業計画書
  • 申請理由書(なぜスタートアップビザが必要かを説明する文書)
  • 住民税・所得税・社会保険を払い終えていることがわかる書類(前職の分など)

審査期間は通常 1〜3ヶ月 です。海外から日本に新しく入国するパターンでは、入管に出す書類が「在留資格認定証明書」の交付申請になり、その証明書を持って母国の日本大使館・領事館でビザのシール(証印)をパスポートに貼ってもらってから来日する流れになります(参照:出入国在留管理庁「スタートアップ関連施策」)。

💡 Key Point

「認定団体の審査 → 確認書発行 → 入管の審査」の2段階で、合計 3〜6ヶ月 が目安。会社を辞めるタイミングや引っ越しの時期は、ここから逆算して動き始めるのが鉄則です。


24ヶ月の動き方|経営管理ビザに切り替えるためのロードマップ

スタートアップビザの在留期間は最長2年。長そうに見えますが、2025年10月の改正で重くなった経営管理ビザの条件をすべて揃えるには ギリギリの期間 です。「いつ・何をするか」のモデルを3ステージで整理します。

ステージ① 0〜9ヶ月目:会社設立から最初の売上まで

  • 会社の形を決めて(株式会社合同会社 が一般的)、司法書士(会社登記の専門家)に依頼して登記
  • 資本金を会社の口座に入れる(経営管理ビザの 3,000万円ライン を意識)
  • 法人名義の銀行口座を開く
  • 会社専用の事務所 を借りる(コワーキングは経営管理ビザ申請でNG)
  • フルタイム社員を1人以上雇う(雇える対象は日本人、または永住者・配偶者ビザなど就労制限のないビザを持つ人)
  • 雇用契約・毎月の給料支払い記録・税金・社会保険・労働保険の届出を済ませる
  • 営業を始め、取引先を開拓して最初の売上を立てる

ステージ② 9〜18ヶ月目:日本語と専門家のお墨付き

  • JLPT N2 を受験(または、雇った社員がN2レベルを満たしているかを確認)
  • 直近6ヶ月分の継続的な売上記録 を蓄積する
  • 中小企業診断士・公認会計士・税理士 のいずれかに依頼して、事業計画書に「この計画は妥当です」というお墨付きをもらう

ステージ③ 18〜24ヶ月目:経営管理ビザに切り替える

  • 入管に 在留資格変更許可申請(スタートアップビザ → 経営・管理)を出す
  • 審査に1〜3ヶ月かかるので、ビザの期限が切れる 最低3ヶ月前 までには申請を済ませる
⚠️ Warning

もし在留期限までに経営管理ビザの条件をすべて満たせなかった場合、スタートアップビザを延長できるケースは かなり限られます。準備が間に合わずに期限を迎えると、いったん「出国準備のための特定活動(30日)」に切り替えて帰国の準備をするか、配偶者ビザや技人国(技術・人文知識・国際業務)など別のビザへ乗り換える検討が必要になります。


経営管理ビザへの切替|つまずきやすい3つのポイント

スタートアップビザの最終ゴールは、最長2年の準備期間が終わるまでに 経営管理ビザに切り替える こと。2025年10月の改正後、ここでつまずきやすいポイントを3つに絞って整理します。

つまずき① 社員を雇うタイミングが遅い

スタートアップビザの期間中にフルタイムの社員を雇っていないと、経営管理ビザに切り替えるとき「この会社、本当に動いてる?」と入管に疑われます。遅くとも切り替え申請の3ヶ月前 には雇用契約を結び、毎月給料を払った記録を作っておくのが鉄則です。

つまずき② 事務所はコワーキングだと認められない

スタートアップビザの期間中は、コワーキングスペースや一時的に借りるオフィスでも活動はできます。ただし経営管理ビザに切り替えるときは、会社専用の独立した事務所 が必要です。改正後は「自宅をそのまま事務所にする」のも原則NG。物件を探す→契約→敷金礼金を払う→契約期間に入る、までを考えると、切り替え申請の 3〜6ヶ月前 から物件探しを始めるのが安全です。

つまずき③ 売上ゼロのままだと切り替えが厳しい

「事業計画はあるけど、半年経っても売上ゼロ」だと、切り替え審査で苦戦します。スタートアップビザの期間中に、少額でもいいから継続的に売上を立てる ことを優先しましょう。毎月の請求書と入金記録が残っていれば、「この会社は実際に取引している」という証拠になります。

切り替えが間に合わないときの選択肢

  • スタートアップビザの延長を申請する:認定団体が引き続き応援してくれる場合に限り、特定活動の延長が認められることがあります
  • 別のビザに乗り換える:技人国(技術・人文知識・国際業務)、特定技能、配偶者ビザ(条件に合う人のみ)など
  • いったん帰国して仕切り直す:母国で資金や事業計画を整えてから、もう一度申請する

知っておきたい落とし穴

便利な制度ですが、見落としやすいポイントがいくつかあります。

落とし穴① 認定後も活動報告が続く

福岡市など一部の自治体では、確認書をもらった後も 3ヶ月に1回(四半期ごと)の活動報告 を出す義務があります。報告するのは事業の進み具合・売上・社員の雇用状況など。これを出し忘れると、次にビザを更新したいときに不利になります。

落とし穴② 確認書をもらってから入管に出すまでの「タイムロス」

認定団体から確認書をもらった後、入管に申請するまで時間がかかってしまうと、その間に今のビザの期限が切れてしまうことがあります。すでに在留資格を持っている方は、確認書を受け取ったらすぐ に入管へ変更申請を出すスピード感が大事です。

落とし穴③ 日本語の壁・銀行口座・物件選び

JETROの2024年分析によれば、累計716人以上がスタートアップビザを取得し、うち少なくとも 359人が経営管理ビザへの移行に成功 しています。約半数しか到達できていないわけで、つまずく原因の上位に挙がるのが「銀行口座を開くのが難しい・海外送金の手続きが面倒」「英語の情報が少ない」「借りられる物件の選択肢が限られる」(参照:JETRO「施行から9年、日本における『スタートアップビザ』の現在地」、2024年)。

特に法人口座の開設遅れは、初動の取引機会を逃す典型パターン。個人口座のままでも実務がある程度回ってしまうため後回しになりがちですが、法人化前の段階からメイン口座と給与振込口座の役割分担を考えておくとラクです(日本で銀行口座を開く方法 も参照)。

🚨 Important

スタートアップビザは「起業準備のチャンス」と「ビジネスを立ち上げる責任」がセットになった在留資格です。家族や出資者ときちんと話し合い、現実的な資金計画を持って挑戦してください。


FAQ|よくある質問

Q1: 技人国ビザから変更できますか?

A: できます。まず認定団体から確認書をもらい、入管へ 在留資格変更許可申請 を出します。事前に「会社を辞めるタイミング」と「住民税・所得税・社会保険を払い終えているか」を整理しておきましょう。

Q2: 留学から卒業と同時に変更できますか?

A: できます。卒業前に確認書をもらっておき、卒業直後に入管へ変更申請を出すのが定番ルート。在学中のアルバイト延長として事業活動を行うのは資格外活動許可の範囲を超えるためNGです。

Q3: 家族滞在ビザから変更すると、扶養してくれている家族に影響はありますか?

A: スタートアップビザに切り替わった時点で独立した在留資格になるので、扶養者の在留状況には直接影響しません。ただし起業準備中は収入が限定されるので、生活費は前もって用意を。詳しくは 家族滞在ビザガイド を参照。

Q4: スタートアップビザの期間中にアルバイトはできますか?

A: 原則は 起業準備活動のみ。生活費補填のアルバイトには別途 資格外活動許可 が必要で、認められる範囲もかなり限定的。基本は自己資金で生活費をまかなう前提で計画を立てましょう。

Q5: 事業がうまくいかなかったら、すぐ帰国ですか?

A: いいえ。期限が近づいたら「特定活動(出国準備)30日」に切り替えて帰国準備をするか、技人国・配偶者ビザなど別の在留資格に切り替える申請ができます。

Q6: 民間VCに出すのと、自治体に出すのは何が違いますか?

A: 民間VC(ベンチャーキャピタル)ルートは「そのVCが投資したい分野と合っているか」が重視され、ピッチと並行して進みます。自治体ルートは「その地域に貢献できるか」が重視され、補助金やコワーキングなどの公的サポートが手厚い傾向。事業ステージや資金調達の方針で選び分けましょう。

Q7: スタートアップビザで作った会社は、切り替えなくても残せますか?

A: 会社そのものは残せますが、あなたが在留資格を失うと代表として日本で活動できなくなります。期限までに経営管理ビザへ切り替えるか、別の在留資格に乗り換えるかが必須です。


まとめ|スタートアップビザを使いこなすためのチェックリスト

スタートアップビザは、日本で起業を考える人にとって 経営管理ビザにたどり着くまでの「限られた、でも貴重な準備期間」 です。2025年の制度一本化と経営管理ビザの条件アップで、使いやすさと難しさが同時に上がりました。出発前に次を確認しておきましょう。

  • 自分のビジネス分野認定団体の応援分野 が合っているか
  • ✅ 自治体ルートか民間VCルートか、ビジネスのステージで選べているか
  • 生活コスト・国際コミュニティの有無 でも認定団体を比較したか
  • ✅ 確認書をもらってから 6ヶ月以内に入管へ変更申請 できるスケジュールか
  • 24ヶ月の動き方 を逆算できているか
  • ✅ 経営管理ビザ切替に向けた 資本金3,000万円・フルタイム社員1名・JLPT N2 の準備計画があるか
  • ✅ 専門家ネットワーク(行政書士・税理士・中小企業診断士)を早めに作れているか
  • ✅ うまくいかなかったときの 「もう1つの在留プラン」 も考えてあるか

経営管理ビザの新条件と、その先の永住権までの道筋は、経営管理ビザ取得経営管理ビザ更新ガイド も合わせて確認すると、3年・5年単位の戦略が立てやすくなります。

日本で起業するのは決してラクな道ではありません。それでもスタートアップビザを助走路として使えば、日本で暮らしながら今いる場所から、次のキャリアの形を作れます。会社を辞める前夜の不安と、登記簿に自分の名前が載った日の高揚は、たぶん想像より両方大きい。最初の一歩を、この制度から踏み出してみてください。