経営管理ビザ更新ガイド2026|5つの審査要件・赤字対応・在留期間1年/3年/5年の取り方を徹底解説

Published: 2026年4月27日
経営管理ビザ更新ガイド2026|5つの審査要件・赤字対応・在留期間1年/3年/5年の取り方を徹底解説
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最終更新日: 2026年4月27日
読了時間: 約12分
カテゴリー: ビザ・法務

はじめに

経営管理ビザは、日本で会社を経営する外国人のための在留資格です。2025年10月16日の改正で、新規取得の許可基準が厳しくなりました(資本金3,000万円・常勤職員1名以上・JLPT N2相当の日本語要件)。

すでに経営管理ビザを保持している人には 2028年10月16日まで3年間の経過措置 が設けられており、その間の更新では新基準を完全に満たしていなくても、新基準への移行計画を示せれば通る運用です。

本記事では、更新で見られる5要件、在留期間1年/3年/5年の取り方、赤字・債務超過の判定、必要書類、不許可後の対応まで、日本で会社経営中の外国人向けに実務目線でまとめます。

TL;DR(この記事でわかること)

  • 入管が更新で見るのは 「事業の継続性」を含む5要件
  • 在留期間1年/3年/5年は 連続黒字・納税完納・職員雇用の安定度 で決まる
  • 赤字でも 債務超過でなければ 更新は十分可能
  • 1期目の債務超過は 中小企業診断士の評価書 で更新の道がある
  • 2期連続の債務超過・売上総利益マイナスは実務上ほぼ不許可
  • 経過措置中の更新でも 新基準への移行計画書 は必須
  • 申請可能時期は 在留期限の3ヶ月前から、標準処理期間2週間〜1ヶ月
  • 不許可でも 特定活動30日 の間に再申請または別ビザへ転向可能
📝 Note

本記事は2026年4月時点の出入国在留管理庁公表情報に基づく解説です。法的助言ではありません。具体的な申請については行政書士・税理士・中小企業診断士などの専門家にご相談ください。


経営管理ビザ更新で見られる5つの審査要件

入管が見ているのは「会社が動いているか」「これからも続くか」「経営者として日本で生活できているか」の3点。実務上は次の5要件に落とし込まれます。

# 要件 主な確認ポイント
申請者の適正 経歴、素行、経営能力を裏付ける職歴・学歴
事業の継続性 直近2期の決算、売上、利益、事業実態
公租公課の履行 法人税・住民税・社会保険の完納
事業所の継続確保 賃貸借契約の継続、独立事業所の維持
在留状況・出国期間 長期海外滞在の有無、届出義務の履行

5要件のうち最重要は②の事業の継続性。決算が良くても他の要件に穴があれば評価は落ちます。逆に赤字でも他がしっかりしていれば、改善計画次第で更新は通ります。

💡 Key Point

5要件のうち②③④は申請直前でも書類整備で挽回できますが、①申請者適正と⑤在留状況(届出漏れ・長期海外滞在)は過去の事実として残るため事後対応が効きません。住所変更・所属機関変更などの届出と出入国記録は、四半期ごとにまとめておくのが最強の保険です。

経過措置や新規申請の要件全体像は経営管理ビザ取得・更新ガイドで網羅しています。

(参照:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」


在留期間1年・3年・5年はこう決まる

経営管理ビザの在留期間は実務上 1年・3年・5年 の3種類が中心。新規取得時はほぼ全員が1年から始まり、更新を重ねるごとに延びていきます。

在留期間 入管の評価 典型的な状況
5年 経営が完全に安定 連続黒字、カテゴリー1〜2、納税完納、職員継続雇用
3年 経営が概ね安定 直近2期黒字または改善見込み明確
1年 改善の余地あり 単年度赤字、創業初期、経過措置中の様子見
不許可 事業実体喪失 2期連続債務超過、長期不納

入管のカテゴリー区分(所属機関分類)とは

表中の「カテゴリー1〜2」は、入管が会社の規模・公的性格・源泉徴収税額で会社を4段階に分類する仕組みです。上位カテゴリーほど提出書類が簡素化され、長期の在留期間が認められやすくなります。

カテゴリー 該当する会社
1 上場企業、国・地方公共団体、独立行政法人、一定要件を満たす公益法人など
2 前年の給与所得の源泉徴収票等法定調書合計表の 源泉徴収税額が1,000万円以上 の会社
3 同合計表を提出した会社(カテゴリー2を除く)
4 上記いずれにも該当しない会社(設立直後・小規模スタートアップなど)

新設会社や個人経営の小規模法人は最初カテゴリー4からスタートし、雇用と給与支払いの実績が積み上がるとカテゴリー3〜2へ昇格していくのが一般的な流れです。

(参照:出入国在留管理庁「所属機関等作成用申請書」

5年を取得する条件

  • 申請者が入管法上の届出義務を漏れなく履行
  • 経営する会社がカテゴリー1または2に該当
  • カテゴリー3の場合、すでに3年の在留期間を保有し継続見込みあり
  • 公租公課の納付が完全に良好

3年を取得する条件

  • 直近2期分の決算が連続黒字、または赤字でも改善見込みが明確
  • 役員報酬が日本で生活できる水準(月額25万円以上)で安定支払い
  • 中長期事業計画書が提出されている

1年が続く人のパターン

単年度赤字の連続、経過措置中で新基準適合計画が未確定、役員報酬が低すぎて生活実態が疑われる、事業所・職員数が改正後の基準に未達、などが典型例。1年が続いても不許可ではなく「改善の余地あり」のサインです。

(参照:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q18(在留期間決定の考慮事項)


赤字決算でも更新できる?4段階判定

赤字の場合、更新できるかどうかは「どのレベルの赤字か」で判断が分かれます。

段階 状況 更新可否 必要対応
第1 単年度赤字(債務超過なし) 通る 業務改善説明書
第2 2期連続赤字(債務超過なし) 通る(ハードル上昇) 業務改善説明書+中長期事業計画書
第3 1期目の債務超過 評価書次第で可 中小企業診断士の評価書(必須)
第4 2期連続債務超過 / 売上総利益マイナス ほぼ不許可 増資による解消が事実上必須

第1段階:単年度赤字(債務超過なし)

1期目の赤字は想定内として認められやすい。入管が見るのは「赤字の原因」「2期目以降の改善計画」「経営者個人の生活実態」の3点。理由書を任意添付するのが定石です。

第2段階:2期連続赤字(債務超過なし)

更新は可能だが、業務改善説明書と詳細な事業計画書(3〜5年)の提出が一般的に求められます。

第3段階:1期目の債務超過

中小企業診断士または公認会計士による「1年以内に債務超過が解消され、改善見込みがある」評価書を添付すれば、1年の更新が認められる運用が在留審査要領に明記されています。

第4段階:2期連続債務超過 / 売上総利益マイナス

実務上ほぼ不許可。更新申請前に増資による解消が事実上の必須条件。売上総利益(粗利)がマイナスの場合は「ビジネスモデルそのものが破綻」と判断され、評価書を出しても結論が覆りにくい運用です。

💡 Key Point

赤字でも更新できるかどうかは、債務超過になっているか売上総利益(粗利)がプラスか の2点で決まります。決算前に税理士と「債務超過ラインを超えないキャッシュ調整」を確認しておきましょう。

(参照:就労ビザ申請サポート大阪「赤字決算での経営・管理ビザ更新」国際ビジネス法務サービス「経営管理ビザの『更新』に必要なことは?」


中小企業診断士・公認会計士の評価書

債務超過に陥った場合や2期連続赤字の場合、専門家による評価書(業績見通し評価書)が更新の鍵を握ります。

評価書に盛り込む必須6項目

  1. 赤字・債務超過の発生原因の特定
  2. 具体的な改善施策(アクションプラン)
  3. 今後の収支計画(数値シミュレーション)
  4. 資金繰り計画(キャッシュフロー)
  5. 経営者の経歴と強み
  6. 第三者(専門家)による評価と署名

費用相場と所要期間

専門家 費用 所要期間
中小企業診断士 10〜30万円 2〜4週間
公認会計士 20〜50万円 3〜6週間
✅ Tip

評価書を依頼するなら「経営管理ビザの更新案件を扱った経験がある専門家」を選ぶこと。入管が求める表現や論点を熟知している人のほうが評価書のクオリティが圧倒的に高くなります。行政書士に紹介を頼むのが最短ルートです。

(参照:中小企業庁「中小企業診断士制度」クレアスト行政書士事務所「経営管理ビザ更新|中小企業診断士の評価書」


業務改善説明書の書き方

評価書と並んで重要なのが、申請者本人が作成する業務改善説明書および事業計画書(更新版)です。

NG例と修正例

NG例:「営業活動を強化して、売上を伸ばします。」

修正後:「2026年5月から、月2回のオンライン展示会への出展を開始。1回あたりの平均商談数10件、成約率20%、平均単価50万円を見込み、月100万円の売上増を目指します。」

抽象的な表現を、具体的な数字と根拠で置き換えるのがポイント。「他責にする」「根拠のない楽観論」も同じく避けます。

構造テンプレート(過去・現在・未来・担保)

  1. 過去:売上・利益の推移、赤字発生の主要因
  2. 現在:着手済みの改善施策、当月時点の月次収支
  3. 未来:12ヶ月分の収支見込み、キャッシュフロー予測、必要資金と調達計画
  4. 担保:契約済み案件の証憑、経営者の経歴、専門家による評価
⚠️ Warning

業務改善説明書を「とりあえず書いた」程度の内容で出すと評価は厳しくなります。A4で5〜10ページのボリューム で、数字と根拠を充実させてください。


2025年改正の経過措置(〜2028年10月)下での更新戦略

経過措置期間中(2025年10月16日〜2028年10月16日)の更新では、現在の経営状況に加えて「2028年10月以降に新基準を満たせる見込みがあるか」が審査されます。具体的には資本金3,000万円への増資計画、常勤職員1名以上の雇用計画、日本語要件のクリア計画の3点を書類で示すこと。

経過措置の活用シナリオ

パターン 戦略 向いているケース
A. 段階的増資 利益を内部留保で積み上げ3年間で3,000万円へ 黒字経営が安定
B. 外部資本調達 VC・エンジェル・親族出資で一気に増資 スケール段階
C. 転向 別ビザ(技人国・特定技能・配偶者)へ早期切替 新基準クリアが困難

2028年10月以降の3シナリオ

シナリオ 状況 結末
完全適合 5要件すべてクリア 通常通り更新可能
部分適合 一部未達 ケースバイケース、不許可リスクあり
未対応 旧基準のまま ほぼ確実に不許可、別ビザ必須
🚨 Important

経過措置の終了日(2028年10月16日)は固定です。今から逆算すると約2年半。3年かけて増資・採用・体制整備を進めるなら、もう動き始めるタイミングです。

(参照:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」行政書士法人第一綜合事務所「経営管理ビザの許可基準が厳格化」


経営管理ビザ更新の必要書類リスト

共通必要書類

カテゴリ 書類
申請関連 在留期間更新許可申請書、写真(3cm×4cm、6ヶ月以内)
在留関連 在留カード・パスポートの写し
会社情報 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
決算関係 直近2期分の決算書、法人税確定申告書の写し
税務関係 法人の納税証明書、申請者個人の住民税納税証明書、源泉徴収票の法定調書合計表
社会保険 社会保険料納付状況等証明書
事務所 賃貸借契約書の写し、事業所の写真

状況に応じて追加する書類

状況 追加書類
1期目の赤字 業務改善説明書、事業計画書(更新版)
2期連続赤字 業務改善説明書、中長期事業計画書、キャッシュフロー計画
1期目の債務超過 中小企業診断士または公認会計士の評価書
経過措置期間中 新基準適合計画書、増資ロードマップ
役員・職員変更あり 株主総会議事録、雇用契約書、社会保険加入証明

(参照:出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」


役員報酬・社会保険・住民税:見落とすと致命的な3点

会社の業績ばかりに目が行きがちですが、入管は「経営者個人として日本で生活できているか」も見ています。

項目 NG OK
役員報酬 月10万円(生活実態を疑われる) 月25万円以上
社会保険 国保のまま、未加入 法人で健康保険・厚生年金に加入済み
住民税 1円でも未納あり 完納(特別徴収推奨)

法人を設立した時点で社長1人でも健康保険と厚生年金は強制加入。住民税は給与天引き(特別徴収)に切り替えるのが安全です。

⚠️ Warning

この3点は改正後の新基準下でさらに厳しく見られています。1点でも問題があると、他要件をクリアしていても不許可になり得ます。

(参照:国税庁「役員給与に関するQ&A」日本年金機構「事業主の方の健康保険・厚生年金保険適用」


申請から結果までのスケジュールと標準処理期間

  • 申請可能時期:在留期限満了日の 3ヶ月前から
  • 標準処理期間:2週間〜1ヶ月(赤字・債務超過・追加資料があれば3〜6週間)
  • 特例期間:在留期限内に申請していれば、結果が出るまで在留継続(最長2ヶ月)

推奨スケジュール(半年前から逆算)

タイミング やること
期限の 6ヶ月前 直近期決算の見通しを税理士と確認、赤字・債務超過の有無を判定
期限の 5ヶ月前 必要なら中小企業診断士・公認会計士に評価書依頼
期限の 4ヶ月前 業務改善説明書・事業計画書(更新版)の作成
期限の 3ヶ月前 必要書類を揃え更新申請書を提出
期限の 1〜2ヶ月前 結果通知(追加資料要求があれば対応)
✅ Tip

申請から結果が出るまでの期間は、海外出張や長期出国を控えるのが安全。追加資料要求があった場合に対応が遅れます。

ビザ更新全般の流れは、別途公開予定のビザ更新手続きガイドも参照してください。

(参照:出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」


不許可になった場合の選択肢と再申請

更新が不許可になっても即帰国ではなく、特定活動(出国準備)30日間 が付与されます。その間に管轄入管で不許可理由の聴取を受け、再申請するか別ビザへ転向するかを判断します。

別ビザへの転向ルート

切替先 適用条件 注意点
技術・人文知識・国際業務 大学卒業以上、職務との関連性 代表取締役を辞任して従業員へ
特定技能 14分野での就労 業種が限定
配偶者ビザ 日本人または永住者と婚姻 配偶者がいる場合のみ
家族滞在 配偶者が就労ビザを保持 配偶者の収入要件あり

詳しくはYOLO MEDIAの家族滞在ビザガイドを参照。

🚨 Important

不許可後の選択は時間との戦い。特定活動30日のうちに次の在留資格を確定させるか出国するかの判断を迫られます。不許可通知を受け取った瞬間に行政書士へ即連絡が鉄則です。

(参照:行政書士法人第一綜合事務所「経営管理ビザが不許可になる理由5選」出入国在留管理庁「在留審査要領」


FAQ:よくある質問

Q1: 1期目で赤字でしたが、債務超過にはなっていません。更新できますか?

A: 基本的に更新可能です。1期目の赤字は想定内として認められることが多く、業務改善説明書と事業計画書(更新版)を添付すれば、1年または3年の在留期間が付与されます。重要なのは「赤字の原因と改善施策」を具体的な数字で示すことです。

Q2: 経過措置期間中なら、新基準への対応は何もしなくても更新できますか?

A: いいえ。経過措置期間中でも、入管は「2028年以降の新基準に適応する意思と能力」を確認します。増資計画、常勤職員雇用計画、日本語要件への対応プランを書類で示せないと、経過措置中でも更新が厳しくなります。

Q3: 2期連続の債務超過です。打つ手はありますか?

A: 更新申請前に 増資による債務超過の解消 が事実上の必須条件です。司法書士に依頼すれば数週間で増資手続きが完了します。資本金を追加投入して債務超過を解消した上で更新申請に臨みます。

Q4: 更新申請中に在留期限が切れたらどうなりますか?

A: 在留期限内に申請を提出していれば、結果が出るまでは「特例期間」として在留が継続されます(最長2ヶ月)。申請が遅れて在留期限切れになると不法残留扱いになるため、満了日の3ヶ月前から早めに動きましょう。

Q5: 海外出張が多い経営者ですが、更新に影響しますか?

A: 業務上の海外出張は問題ありません。ただし、年間の半分以上を海外で過ごしている場合「日本で経営している実態」が問われます。長期不在が続く場合は合理的理由(海外取引先との交渉、海外拠点立ち上げなど)を説明できる準備をしてください。


まとめ:更新前のセルフチェックリスト

経営管理ビザの更新は、5つの審査要件を一つずつ確認し、必要なら専門家の力を借りれば十分に通ります。次回更新の3〜6ヶ月前から、以下のチェックリストを順に潰していってください。

  • 5要件(申請者適正・事業継続性・公租公課・事業所・在留状況)に大きな穴はないか
  • ✅ 直近2期の決算は 債務超過に陥っていない か、売上総利益はプラスか
  • ✅ 赤字なら 業務改善説明書 の準備ができているか
  • ✅ 1期目の債務超過なら 中小企業診断士の評価書 を依頼済みか
  • ✅ 法人・個人ともに 納税完納 しているか(住民税・法人税・社会保険)
  • ✅ 役員報酬は 月25万円以上 を維持できているか
  • ✅ 経過措置期間中なら 新基準適合計画書 の準備ができているか
  • ✅ 申請期限の 3ヶ月前 に書類提出できるスケジュールか

新規取得から更新、永住権・高度専門職への接続まで、一連の在留戦略は経営管理ビザ取得・更新ガイド、および別途公開予定の高度専門職ビザガイド・永住権の申請要件も合わせて確認すると見通しが立ちます。