【2026最新】経営管理ビザが大きく変わる|資本金3,000万円・JLPT N2・常勤職員1名の新要件と、2028年までの経過措置をやさしく解説

Published: 2026年4月27日
【2026最新】経営管理ビザが大きく変わる|資本金3,000万円・JLPT N2・常勤職員1名の新要件と、2028年までの経過措置をやさしく解説
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最終更新日: 2026年4月26日
読了時間: 約12分
カテゴリー: ビザ・法務

はじめに:2025年改正で「日本で社長になる」のハードルが大きく動いた

日本でキャリアを積んでいる方なら、一度は「自分の会社を持ちたい」と考えたことがあるかもしれません。同僚と独立して受託開発会社を立ち上げる、母国の食材を扱う飲食店を出す、海外と日本をつなぐ越境ECを始める。日本に住む外国人の起業の形は、本当にさまざまです。

その入口になるのが経営・管理ビザ(Keiei-Kanri)です。ただし、2025年10月16日施行の改正で、取得・更新のハードルは大きく動きました。資本金は500万円から3,000万円へ。常勤職員1名以上の雇用が必須化。日本語能力JLPT N2相当も新設されました。

このガイドでは、新要件の中身、申請の流れ、不許可を避けるためのポイントを、申請する側の目線で整理します。経過措置の活用や永住権ルートなど、深掘りトピックは別記事へのリンクを貼っているので、自分の状況に合わせて読み進めてください。


TL;DR(この記事でわかること)

  • 2025年10月16日施行の改正で、経営管理ビザに 5つの新要件 が追加
  • 資本金は旧500万円から 3,000万円 へ6倍化、加えて 常勤職員1名以上の雇用 が必須
  • 申請者または常勤職員のいずれかが JLPT N2(B2)相当の日本語能力 を持つこと
  • 経営経験3年以上、または 修士・博士・専門職学位 が必要
  • 事業計画書は 中小企業診断士・公認会計士・税理士 などの専門家確認が必須
  • 既存保持者には 2028年10月16日までの経過措置 あり
  • 自宅兼事務所は 原則NG
📝 Note

本記事は2026年4月時点の出入国在留管理庁の公表情報および申請実務に基づく解説です。法的助言ではありません。具体的な申請・更新については行政書士などの専門家にご相談ください。


旧基準と新基準の早見表

改正前と改正後で、何が動いたのかを一目で確認します。

要件 旧基準(〜2025年10月15日) 新基準(2025年10月16日〜)
資本金等 500万円以上 または 常勤職員2名以上 3,000万円以上 かつ 常勤職員1名以上
日本語能力 規定なし 申請者または常勤職員のいずれかがB2(JLPT N2)相当
学歴・職歴 規定なし 経営経験3年以上 または 経営・事業分野の修士以上
事業計画書 自作で可 中小企業診断士・公認会計士・税理士などの専門家確認が必須
事務所 個室の専有スペース 同左 + 自宅兼事務所は原則NG

(参照:出入国在留管理庁「上陸基準省令等の改正について」

政府がここまで踏み込んだ理由は「事業実体のないビザ取得を防ぐため」です。新基準は、見せ金や踏み台での取得を塞ぎ、本気で日本市場で勝負したい起業家を歓迎するというメッセージでもあります。

🚨 Important

2025年10月15日までに受付された申請は旧基準が適用されます。それ以降の新規申請は新基準のみが対象です。


新要件①:資本金3,000万円ルール

最大の変更点が、資本金等の引き上げです。500万円から 3,000万円 へ6倍。「常勤職員1名以上の雇用」と 両方 満たす必要があり、片方だけでは認められません。

重要なのは「金額」より「出所」

3,000万円という数字に目が行きがちですが、実務上もっと重要なのは「そのお金をどう用意したか」の証明です。

  • 自己資金:過去数年の通帳で、給与・収入から積み上がったことを示す
  • 親族からの借入・贈与:金銭消費貸借契約書/贈与契約書、銀行を経由した送金経路、親の資金形成過程の証明
  • 個人事業主ルート:事業所取得費・職員年間給与・設備投資費・初年度仕入を「投下総額」として積算
⚠️ Warning

「資本金見せ金」(一時的に借りて登記後すぐ返済)は不許可どころか刑事責任を問われる可能性があります。資金は本当に事業に使えるお金として用意してください。

✅ Tip

出所証明は 会社設立の半年前から準備 が安全です。海外送金は数回に分け、送金理由を「事業準備資金」と明記してもらいましょう。


新要件②:常勤職員1名以上の雇用義務

「資本金3,000万円積めば、ひとりで経営できる」設計は通用しなくなりました。

常勤職員としてカウントできる人

入管が常勤職員と認めるのは以下に該当する人だけです。

  • 日本人 / 特別永住者
  • 永住者日本人の配偶者等永住者の配偶者等定住者 の在留資格を持つ外国人

技人国・留学・特定技能・家族滞在などの就労系・活動系在留資格を持つ外国人は、原則カウントできません(例外:申請者本人がJLPT N2を満たす場合)。

雇用形態の実務要件

  • 年間217日以上、週30時間以上の勤務
  • 雇用保険の被保険者
  • 給与水準が同地域の同業他社と比べて妥当

「友人を月5万円で名義貸し」「家族をパート採用」は基本的に通用しません。

採用コストの目安(首都圏・年間)

項目 年額目安
給与(月25万円×12ヶ月) 約300万円
賞与(年2ヶ月分) 約50万円
社会保険料の会社負担分(給与の約15%) 約53万円
雇用保険・労災保険 約3万円
合計 約406万円

これを 事業計画書の収支表に明記し、初年度から支払えるキャッシュフロー を示す必要があります。

(参照:日本年金機構「事業所が行う手続き」

💡 Key Point

「採用予定」では足りません。申請時点で雇用契約書を締結し、給与支払いの実態が確認できる状態 を目指してください。


新要件③:日本語能力B2(JLPT N2相当)

ありがたいことに、日本語能力要件は AND ではなく OR です。申請者本人または常勤職員のひとりが日本語B2相当を満たせばクリアになります。

認められる証明方法

証明方法 詳細
JLPT N2以上の合格認定
BJTビジネス日本語能力テスト 400点以上
中長期在留歴 通算20年以上の中長期在留
学歴 日本の大学・大学院・短期大学・専門学校卒業
義務教育+高校 日本の小中学校+高等学校卒業

(参照:出入国在留管理庁 改正告示第3号

日本語が苦手な経営者の戦略

英語ベースで働いてきた方は、日本人または身分系在留資格の人材を常勤職員に採用 すれば、日本語要件を自動的にクリアできます。

✅ Tip

JLPT N2の試験は年2回(7月・12月)。申請スケジュールから逆算して 最低1年前から準備 が安全です。


新要件④:経営経験3年または修士以上の学歴

申請者本人の経歴・学歴に新たな下限基準が設けられました。

学歴ルート

以下のいずれかの学位が必要です(学士では足りません)。

  • 経営管理(MBA等) に関する博士・修士・専門職学位
  • 申請する事業分野の博士・修士・専門職学位(例:IT会社ならCS修士)

職歴ルート

学位がない場合は 事業の経営または管理について3年以上の経験 が必要です。

  • 取締役・執行役員などの経営層
  • 部長クラス以上の管理職
  • 事業部長・支店長として独立採算で組織を率いた経験

「会社員として3年」では不可。役職・責任範囲がわかる職歴証明書 を前職から取り寄せてください。

経歴と事業内容のミスマッチに注意

IT畑15年の人がいきなり建設業を始めるなど、つながりが見えない計画は厳しい審査になります。転換の合理性 を事業計画書で説明できるかが鍵です。

⚠️ Warning

母国での職歴証明書は、英文または日本語訳に加え、公証人による認証(アポスティーユまたは領事認証)を求められるケースがあります。取り寄せに2〜3ヶ月かかることも。早めの準備を。


新要件⑤:事業計画書の専門家確認

5大要件のなかで、作成負担が最も増えた のがこの項目です。

確認できる専門家の3資格

事業計画書には以下のいずれかの専門家による「確認」が必要です。

  • 中小企業診断士
  • 公認会計士
  • 税理士

行政書士・弁護士・社会保険労務士は対象外です(書類作成・申請代行は可能ですが、計画書の確認はできません)。

自社役員・従業員はNG、外部顧問はOK

  • ❌ 自社の役員・従業員が資格を持っていても、自社の計画書は確認できない
  • ⭕ 外部の顧問税理士・契約中小企業診断士は OK

確認費用の目安

専門家 確認費用の目安
中小企業診断士 10〜30万円
公認会計士 15〜40万円
税理士 8〜25万円

計画書に求められる具体性

「月商500万円を見込む」だけでは通りません。

  • 顧客単価×客数×稼働日の 積算根拠
  • 同業他社の比較データ
  • 取引予定先との 見積書・契約書ドラフト
  • 採用計画と 人件費の積み上げ
  • 3〜5年分の 月次収支シミュレーション
🚨 Important

旧基準時代は「自分でWordで書いた計画書」で通った時代もありましたが、新基準では実質的に 専門家とのコラボレーション必須 です。


新要件⑥:自宅兼事務所の原則NG化と例外

事務所要件は 居住空間と事業空間を別々の物件で確保 が原則になりました。

例外的に認められるケース

戸建ての一部や事務所兼用設計のメゾネットなどで、以下の条件をすべて満たす場合のみ:

  • 自宅と事業スペースが 完全に別の入口
  • 賃貸借契約書に「事業用使用可」「法人登記可」の明文
  • 大家からの 事業利用許可承諾書
  • 看板・社名プレートが建物外観と郵便受けに設置
  • 住宅街などで近隣の生活環境を著しく害さない業種

ワンルームやLDKの一角はほぼ通りません。バーチャルオフィスや住所貸し型サービス、専有個室のないコワーキングスペースも認められません。

提出が求められる写真

  • 建物外観(看板・社名プレート付き)
  • 郵便受け(社名明記)
  • 事業スペース入口のドア
  • 事業スペース全体(デスク・PC・書類棚・複合機など備品)
✅ Tip

物件契約の段階で、不動産会社に「経営管理ビザ申請に使う」と最初に伝えてください。事業用OKの物件を絞り込んでもらえます。


既存保持者の経過措置(2028年10月まで)

すでに経営管理ビザを保持中の方には、施行から3年間の経過措置が設けられています。

  • 2028年10月16日までは、新基準を完全に満たしていなくても、現在の経営状況や新基準への適合計画を総合的に勘案して更新審査される
  • 2028年10月16日以降は、原則として新基準への完全適合が必須

「何もせず3年間放置」では更新が通りません。増資のロードマップ・常勤職員採用計画・日本語要件への対応 を進めていることを、書類で示す必要があります。

🚨 Important

経過措置中の更新審査ポイント、2028年に向けた増資・採用・転向の3つのプラン、債務超過時の対応については、別記事で深掘りしています。
👉 経営管理ビザ更新ガイド:経過措置の活用と更新審査の実務


必要書類と申請の流れ

必要書類リスト(新規申請)

カテゴリ 書類
申請関連 在留資格認定証明書交付申請書、写真(3cm×4cm)
会社情報 履歴事項全部証明書、定款の写し
資本金関係 払込証明書類、出資金の出所証明書類
事務所 賃貸借契約書、事業所の写真
事業計画 事業計画書(専門家確認書付き)、売上見込みの根拠書類
雇用関係 常勤職員の雇用契約書、職員の身分証明
申請者本人 履歴書・職歴証明書、学歴証明書
日本語能力 JLPT合格証など
税務関係 申請者本人の納税証明書、法人の納税予定

(参照:法務局「商業・法人登記の申請書様式」国税庁「法人の税務手続き」

申請の全体スケジュール

時期 主な作業
6〜12ヶ月前 資本金準備、修士課程確認 or 経営経験3年の証明、JLPT N2取得 or 常勤職員候補選定
3〜6ヶ月前 事業計画書ドラフト、専門家への依頼、事務所物件契約
1〜3ヶ月前 会社設立、法人口座開設、常勤職員採用契約、書類の最終確認
申請 在留資格認定証明書交付申請(または変更許可申請)、審査期間1〜3ヶ月

初回付与の在留期間は通常 1年。2期連続黒字など安定性が認められれば、次回更新で 3年 が付与されることもあります。最長は5年です。


不許可になる典型パターン

申請者の不許可理由は同じパターンに収れんします。事前に潰しておけばリスクは大幅に下がります。

パターン 詳細 対策
資本金の出所不明 海外送金経路が不明、現金持込、申請直前の大口入金 半年以上かけて段階的に送金、すべて銀行記録に残す
常勤職員の実態欠如 名義貸し、家族のパート扱い、給与未払い 雇用保険加入と給与振込実績を申請時点で確保
事務所が実体を欠く バーチャルオフィス、住所貸し、自宅リビングに机のみ 事業用契約の物件を借り、写真リストを満たす
専門家確認なし 自作のみで提出 中小企業診断士・公認会計士・税理士から確認書を取得
経歴と事業のミスマッチ IT経歴で建設業など、つながりが見えない 計画書で経歴のつなぎを丁寧に説明
⚠️ Warning

不許可後の「特定活動(出国準備)」期間は通常30日間。この間に他のビザへの変更申請または出国準備が必要です。

新基準クリアが難しい場合は、技術・人文知識・国際業務特定技能配偶者ビザ家族滞在ビザ(YOLO MEDIAの専用ガイド参照)など別の在留資格への切替も検討対象になります。


永住権・高度専門職への接続

経営管理ビザはゴールではありません。日本で長期的に生活するには、永住権 または 高度専門職 への接続を視野に入れて動くのが定石です。

  • 通常の永住権申請:日本に10年以上在留+うち5年以上が就労または居住資格(経営管理ビザはカウント対象)
  • 高度専門職1号(ハ):学歴・職歴・年収・年齢などをポイント化し70点以上で変更可、80点以上なら永住権申請まで 最短1年
  • 在留期間「3年」「5年」を取るには:2期連続の黒字決算、納税・社会保険料の完納、役員報酬が 生活できる水準(月25万円以上の目安)

詳細はYOLO MEDIAの高度専門職ビザガイドと永住権の申請要件記事を参照してください。


FAQ:よくある質問

Q1: 旧500万円基準で取得した私のビザはどうなりますか?

A: 2028年10月16日まで経過措置が適用されます。経過措置中の更新では、新基準を完全に満たしていなくても、現在の経営状況や新基準への適合計画を総合的に判断されます。何もせず3年間放置するのはNG。詳細は経営管理ビザ更新ガイドを参照してください。

Q2: 留学ビザから経営管理ビザに変えたいのですが、新基準で可能ですか?

A: 制度上は可能ですが、新基準下では資本金3,000万円・常勤職員雇用などのハードルが追加されたため、卒業直後の若い起業家には現実的に厳しくなりました。スタートアップビザを経由して準備期間を確保するか、まず技人国ビザで就職して経験を積んでから独立するルートが現実的です。

Q3: 自宅で起業したいのですが、完全に不可能ですか?

A: 原則NGですが、戸建てで居住部分と事業部分が完全に別入口になっているなど、厳格な条件を満たせば例外的に認められる余地があります。ワンルーム・LDKの一角・マンションの一室などは認められません。事業用契約OKの専有物件を別途借りる のが現実的です。

Q4: 日本語ができないが、それでも経営管理ビザを取得する方法はありますか?

A: あります。日本語能力要件は「申請者または常勤職員のいずれか」がクリアすればよいので、日本人または身分系在留資格の常勤職員を雇用 することで要件を満たせます。

Q5: スタートアップビザから経営管理ビザに切り替えられますか?

A: 可能ですが、新基準(資本金3,000万円など)を満たす必要があります。スタートアップビザの在留期間(最長2年)の間に、常勤職員雇用と資本金準備を完了させる計画が必要です。詳細はYOLO MEDIAのスタートアップビザ完全ガイドを参照してください。

(参照:経済産業省「スタートアップビザ/創業活動促進事業」


まとめ:申請前のセルフチェックリスト

新基準下で経営管理ビザを取得・更新するのは、確かに以前より重い道のりになりました。それでも、要件を一つずつ満たしていけば、日本で経営者として活動する道は開けています。共通する成功パターンはシンプル。要件を逆算で計画し、専門家と組み、焦らずに進めることです。

申請前に、以下を確認してください。

✅ Tip

銀行記録で追跡可能な調達
[!TIP]
雇用契約と社会保険の目処
[!TIP]
本人または常勤職員のいずれかが証明可

  • 経営経験3年 or 修士以上の学位
✅ Tip

診断士・会計士・税理士の確認書付き

  • 個室の事業用オフィス(自宅兼用は原則NG)

既存保持者は経営管理ビザ更新ガイドで2028年10月の経過措置を確認してください。

書類の準備に不安があれば、入管対応に強い行政書士と法人税務に強い税理士の2名体制を最初から組むのが、回り道のない近道です。