最近、街で同じ国の言葉を聞く機会、増えていませんか?
役所の窓口で母語に近い言語の案内が並んでいたり、スーパーで母国の食材が見つかったり、街で同じ国の言葉を耳にする機会が増えたと感じている方もいるかもしれません。その印象は、最新の統計にもはっきり表れています。出入国在留管理庁によると、2025年末時点で日本に住む外国籍の人は412万5,395人。初めて400万人を超え、過去最多になりました。
前年末の376万8,977人から35万6,418人(+9.5%)増えました。国籍別・在留資格別・都道府県別のデータを整理して、今の日本の姿を見ていきましょう。
(参照:出入国在留管理庁 令和7年末統計)
TL;DR(この記事でわかること)
- 2025年末の外国籍住民は412万5,395人で過去最多。初の400万人突破
- 前年末比+35万6,418人(+9.5%)
- 国籍別トップ3は中国(93万人)、ベトナム(68万人)、韓国(40万人)
- 在留資格では永住者(約95万人)が最多。特定技能が前年比+10万人で急増
- 東京に約80万人が集中。全国の約19.4%(5人に1人)が東京在住
免責事項: 本記事は出入国在留管理庁が2026年に発表した令和7年末(2025年末)の外国籍住民統計データをもとに整理しています。
412万人の内訳を見てみよう
| 順位 | 国籍 | 人数(2025年末) | 前年からの変化 |
|---|---|---|---|
| 1 | 中国 | 93万428人 | 約6万人増 |
| 2 | ベトナム | 68万1,100人 | 約5万人増 |
| 3 | 韓国 | 40万7,341人 | ほぼ横ばい |
| 4 | フィリピン | 35万6,579人 | 約1.5万人増 |
| 5 | ネパール | 30万992人 | 約7万人増 |
中国が引き続き最多ですが、注目したいのはベトナムとネパールの伸びです。ベトナムは1年で約5万人増えて68万人台に到達。ネパールは前年の約23万人から一気に30万人を突破し、初めて30万人台に乗りました。今回の前年比増加幅では、ネパール(約+7万人)が上位5カ国の中でトップに立ちます。
いずれも特定技能を中心とした就労系資格を入口にした来日が背景にあります。これまで日本で暮らす外国籍住民の中心だった中国・韓国に代わり、東南アジア・南アジアから日本で働く・学ぶ人が急速に増えている構図が、この数字からはっきり読み取れます。
どの在留資格が多い?
2025年末(令和7年末)の最新データで在留資格別に見てみましょう。
| 順位 | 在留資格 | 人数(2025年末) | 前年からの変化 | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 永住者 | 94万7,125人 | +2万9,009人 | 期間の制限なく日本に住める資格 |
| 2 | 技術・人文知識・国際業務 | 47万5,790人 | +5万7,084人 | ITエンジニア、通訳など専門職の就労ビザ |
| 3 | 留学 | 46万4,784人 | +6万2,650人 | 日本語学校・専門学校・大学の学生 |
| 4 | 技能実習 | 45万6,618人 | +23人 | 最長5年の実習制度。2027年に「育成就労」へ移行予定 |
| 5 | 特定技能 | 39万296人 | +10万5,830人 | 即戦力として働ける就労資格。介護・建設・農業など14分野 |
表全体から読み取れるのは、働く・学ぶことを目的とした新規来日が急増していることです。永住者の増加が約2万9千人にとどまる一方、就労・留学系の4資格(技人国・留学・技能実習・特定技能)の増加分を合計すると約22万6千人。今回の総増加35万6千人のうち、約6割がこの4資格で説明できる計算です。コロナ後に「日本で働く・学ぶ」を選ぶ人が一気に戻ってきている構図が、ここからはっきり浮かび上がります。
注目したいのは順位の入れ替わりです。前年までずっと2位だった技能実習は今回4位に後退し、代わりに技術・人文知識・国際業務(技人国)が2位、留学が3位に浮上しました。さらに特定技能は前年比で約10万6千人もの大幅増となり、初めてトップ5入り。技能実習が頭打ち(前年比+23人)になる一方で特定技能が急増していることから、2027年の「育成就労」制度への移行を見据えた即戦力人材へのシフトが、この数字からはっきり読み取れます。
どこに住んでいる?
2025年末(令和7年末)時点の都道府県別トップ5です。
| 順位 | 都道府県 | 人数(2025年末) | 前年からの変化 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 80万1,438人 | +6万2,492人(+8.5%) |
| 2 | 大阪府 | 37万5,319人 | +4万1,755人 |
| 3 | 愛知県 | 35万7,800人 | +2万6,067人 |
| 4 | 神奈川県 | 31万7,353人 | +2万4,903人 |
| 5 | 埼玉県 | 29万937人 | +2万8,555人 |
東京都だけで全国の約19.4%を占め、412万人のうち5人に1人が東京在住という結果になりました。上位5都府県を合計すると約214万人で、全国の約52%。日本に暮らす外国籍の人の半分強が、この5都府県に集中しています。
関西・東海の二大集積地
東京一極ではなく、首都圏・関西・東海の三極構造になっていることが、この表から見て取れます。2位の大阪府は商業・サービス業の集積地で観光・飲食・小売を中心に、3位の愛知県は自動車関連を軸とした製造業で外国人材を吸収しているのが特徴です。実際、特定技能で働く人の数を都道府県別に見ると愛知県が全国1位で、自動車サプライチェーンが外国人材の主要な受け皿になっていることがわかります。
(参照:出入国在留管理庁 統計)
絶対数と伸び率で見え方が変わる
絶対数の伸びでは東京都の+6万2千人が突出。次いで大阪府+4万1千人、埼玉県+2万8千人、愛知県+2万6千人、神奈川県+2万4千人と続きます。一方、1年間の伸び率で見ると順位が大きく入れ替わります。
| 都道府県 | 前年比増加率 |
|---|---|
| 大阪府 | +12.5% |
| 埼玉県 | +10.9% |
| 東京都 | +8.5% |
| 神奈川県 | +8.5% |
| 愛知県 | +7.9% |
伸び率トップは大阪府の+12.5%で、東京を上回るペースで集積が加速。続く埼玉県も+10.9%と二桁の伸び率です。首都圏に近い割に住居費が抑えられる埼玉や、関西圏のハブである大阪に、新規来日の人たちが住まいを求めている動きが浮かび上がります。
東京一極集中が続いているのは事実です。ただ、増加スピードでは関西と首都圏外縁部が東京を超え始めていることが、今回の都道府県データから読み取れる新しい傾向です。
この数字が意味すること
412万人は日本の総人口(約1億2,400万人)の約3.3%。30人に1人が外国籍の住民です。ここでは、この数字を別の角度から読み解いてみましょう。
10年で約1.8倍に増えた
出入国在留管理庁の長期データを見ると、10年前の2015年末時点では約223万人でした。そこから2025年末の412万5,395人まで、およそ1.85倍に拡大しています。注目したいのは増え方のペースで、コロナ禍で一時減少した後、2023年〜2025年は1年あたり30万〜35万人増という急角度のカーブを描いています。
日本全体の人口は減っている
同じ時期、日本人を含む総人口は逆に減り続けています。総務省統計局の最新の人口推計(2025年12月1日時点、2026年5月公表)によると、日本人人口は1年間で約91万4千人減(-0.76%)。一方、外国人人口は同期間で約33万6千人増(+9.35%)と、双方で大きな動きが同時に起きています。
日本人の減少幅は外国人の増加幅の約2.7倍。外国籍コミュニティの増加が日本人人口の急減を部分的に和らげているものの、社会全体としては毎年50万〜60万人規模で人口が縮んでいる構図です。
(参照:総務省統計局 人口推計(2025年12月1日現在))
国籍分布の重心がアジア全域へ広がった
10年前は中国と韓国だけで全体の約半分を占めていました。今は両国を合わせても約32%。代わりにベトナム(68万人)、フィリピン(35万人)、ネパール(30万人)、インドネシアやミャンマーといった国々の存在感が急速に増しています。技能実習・特定技能制度を通じた来日が大きな背景にあり、日本で暮らす外国籍住民の「顔ぶれ」は、東アジア中心からアジア全域へと10年で大きく描き変わったといえます。
国籍分布が多様化することで、自分の母語で対応してくれる窓口や、同じ国出身のコミュニティに出会える機会も少しずつ広がっています。
この変化が、暮らしの選択肢を広げている
数字の変化は、私たちの日常生活でも実感できる場面が増えてきました。役所の窓口でやさしい日本語や母語に近い言語の案内を受けられる地域が広がり、多言語対応の防災訓練を実施する自治体も出てきています。学校では、日本語が母語でない子どもへの学習サポートを整える動きも進んでいて、家族で日本に暮らす人にとって頼れる選択肢が少しずつ増えています。
同じ国出身のコミュニティが見つけやすくなったり、母国の食材や調味料を扱うスーパーが地方都市にも増えてきたり。412万人という数字の裏では、暮らしを支える環境そのものがこの10年で大きく変わってきています。
FAQ(よくある質問)
Q. 自分が住む市区町村の外国籍住民数を調べるには?
A. 政府統計の総合窓口e-Statで、市区町村別・国籍別の外国籍住民統計が無料で公開されています。「外国人統計」→「市区町村別 国籍・地域別」で、自分の住む街にどの国の人が何人住んでいるかが調べられます。引っ越し先の検討や、母国コミュニティ探しの参考になります。
Q. 永住者が一番多いのはなぜ?
A. 永住権には期限がないため、取得者は年々積み上がります。他の在留資格は期限付きで入れ替わりがありますが、永住者は基本的にそのまま残ります。永住権と帰化(日本国籍取得)の違いで迷う人は永住権と帰化の違い・選び方ガイドも参考にしてみてください。
Q. 1年で35万人も増えた本当の理由は?
A. 最大の要因は特定技能の急増(前年比+10万6千人、+37%)と留学・専門職資格の伸び(合計+約12万人)です。背景には3つの構造変化があります。
- 国内の労働力不足の深刻化:日本人人口は1年で約91万人減(総務省統計局)。介護・建設・農業などの現場で人手不足が常態化
- 特定技能制度の拡大:政府が対象分野を14分野に拡大し、2027年の「育成就労」制度への移行も準備中。即戦力人材の受入体制が整いつつある
- コロナ後の入国正常化:留学生・就労者の新規入国が完全に戻り、家族の呼び寄せも底堅く増加
日本経済研究センターと日本経済新聞社が2025年7月に経済学者約50人を対象に実施した「エコノミクスパネル」第7回調査では、「外国人の増加が日本人の生活水準向上に寄与する」と回答した経済学者が76%(重みづけ後85%)に達しました。「財政収支の改善にも寄与する」と答えた割合も66%(同77%)と多数派です。労働力不足と財政持続性の両面から、外国人受入拡大を前向きに評価する見方が、経済学者の間でも大きく広がっています(日本経済研究センター エコノミクスパネル第7回調査)。
働く人の受入れ体制について詳しく知りたい方は、特定技能の受入上限123万人の記事もご覧ください。
Key Takeaways(まとめ)
- ✅ 2025年末の外国籍住民は412万5,395人。初の400万人突破、前年比+9.5%
- ✅ ネパールが初の30万人超え。アジア圏からの来日が加速
- ✅ 永住者が約95万人で最多。特定技能が前年比+10万6千人で急増し初のトップ5入り
- ✅ 東京都は80万人超で全国の約19.4%。上位5都府県で約52%を占める集中構造
- ✅ 伸び率では大阪府+12.5%・埼玉県+10.9%が東京を上回り、首都圏外縁・関西で集積が加速
412万人という数字は、単に過去最多を更新したというニュースにとどまりません。日本人人口が1年で約91万人減る一方で、外国籍住民が約35万人増える。日本社会の構造変化が、いよいよはっきりと数字で見える形になってきました。国籍の重心は中国・韓国から東南アジア・南アジアへ移り、来日の入口も技能実習から特定技能へとシフト。集積地は東京一極ではなく、関西・東海・首都圏外縁へと広がっています。
この変化は、私たちが暮らす街の言語サービスや行政対応、コミュニティのあり方を確実に変えていきます。同じ国出身の人と出会える機会が増え、母語で受けられる支援も少しずつ広がる一方で、社会の側でも多言語・多文化への対応が一段と求められていく。412万人の内訳を知ることは、これから日本で暮らしていく自分自身の選択肢を広げる第一歩になるはずです。